第158話 ゴブリン討伐

冒険者ギルドのギルド長の執務室での会話は続く。


「草に何をさせるのー?」


ブラックジャガー獣人のノワが俺達に尋ねる。


「オクオに連絡をとって、ゴブリンの部隊を数人派遣して貰う」


「うん。ん? 数人でいいのー?」


「そう、数人だ。もしサトウ国に逃げても良いゴブリンがいたら、護衛しながら同行しサトウ国で受け入れる。」


「えー! ゴブリンを助けてリシオジを潰さないのー?」


「リ、リシオジを潰すぅ?」

目を見開くギルド長。


「おい、おっさん、いちいちリアクションが煩いぞ!」

またギルド長をギロリと睨んだ。


「は、はい……」


「ノワ、俺はゴブリンにもリシオジにも思い入れが無い。どちらの味方もしないつもりだ。いちいち助けてたらきりがないだろう」


「えー! リシオジが、ゴブリン達の生活圏を侵犯したのは明らかじゃないのー?」


「そうだろうね。でも俺はゴブリンに恩も借りも無いので、助けるつもりはないぞ。俺は正義の味方じゃ無いしね」


「そうですかー。」


「ただ、可哀想ではあるので、逃げたいゴブリンがいるなら、保護したいと思っただけだ。その際、他種族の俺達が行くより、同種族のゴブリンの方が信頼されるだろう」


「分かったー」

ノワが一瞬目を輝かせるのが見えた。何か考えてるのか? まあ、原則俺の言う事を間違いなく実行するからなぁ。問題無いだろう。


「ギルド長、と言うわけなので、領主の依頼は受けて良いぞ。逐次状況は教えてくれ」


「承知しました」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日、ギルド長から連絡があり、俺達は執務室に再度行った。


「ギルド長、どうした?」


「タクミ様、領主より連絡があり、明後日にゴブリン討伐する事になりました。」


「ほう、対応が早いね」


「避難しているマイーヤ村の人々を、いつまでも城門前で、野営させる訳にはいかないのです」


「そうだろうね」


「冒険者達には、本日中に特別討伐依頼を出します。前回同様にCランク以上は強制参加ですが、Dランク以下も任意で参加可能とします」


「ふむ、騎士団と合わせて、人数はどのくらいになる見込みだ?」


「300名を越えるかと思われます」


「ほう。ノワ、ゴブリン達の数はどのくらいいる?」


「んーとねー、前回冒険者達が村人を逃がす時に、冒険者と戦って減ってるから、50ぐらいかなー。でも負傷者や老人と子供もいるので、実質戦えるのは30ぐらいだねー」


「10倍かぁ。サトウ国から派遣するゴブリンは間に合うのか?」


「間に合いますよー、今日にはマイーヤ村に入りますねー。」


「え! 早すぎない?」


「えへへ、特別に速い移動手段が出来たらしいですよー、最速で来まーす」


「ナニソレ?」


「ヒッポグリフでーす」


「ヒッポグリフ! 凄いじゃん!」


ヒッポグリフは、グリフォンと雌馬の間に生まれたとされる、身体の前半身が鷲、後半身が馬のモンスターだ。


「数頭サトウ国の傘下に入ったんだってー。運べる人数は少ないけど、数人なら直ぐです。タクミ様の指示なので、最優先だよー」


何だか、嫌な予感がしてきた。

どんなゴブリンを派遣したんだ?


「まあ、分かった。ところでルイは特別依頼参加ね」


「えっ! 私がですか?」


「そうだよ、ゴブリンは極力殺さず、現場で趨勢を見守りなさい」


「は、はい……」

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