第157話 ギルド長との約束

俺とブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リンと剣聖ルイは、冒険者ギルドのギルド長の執務室に入った。


「ギルド長、どうやら約束を守ってもらったみたいだな」


「特級アンタッチャブルのタクミ様との約束ですので、約束を履行する事は当然です」


俺はギルド長と約束をしていた。

このギルドの常設依頼からゴブリンの討伐と、コボルトの討伐、オークの討伐を外す約束だ。


初めにギルド長からの提案はランクの昇格を提案された。昇格しても特級アンタッチャブルである俺には、強制依頼は出来ないし、指名依頼も断れる。


AまたはSランクに昇格する事で、冒険者からの不要な侮りからの騒動もなくなり、冒険者の安全が保たれて、俺達にも不要なトラブルが少なくなる、一見WinWinの関係にみえる。


しかし、指名依頼や今回の様な、Cランク以上の冒険者全体に対する強制依頼が発生した場合、特に上位ランクの冒険者から、俺達だけ除外される事による、不公平感からのトラブルが発生する可能性もある事から、俺の方で断った。


替わりに俺からの要望で、ゴブリンなどの亜人に近いモンスターの討伐に関する常設依頼を停止させた。


本当は冒険者ギルド全体で上記常設依頼を停止させたかったのだが、このギルド長の権限では、この都市のギルドの常設依頼しか停止出来なかったので、それで了承した。


俺はその後受注していた依頼の結果を報告し依頼完了の報酬を受け取った。


「ところで、マイーヤ村から避難して来た人々が城門前にいたがマイーヤ村はどうなった?」


俺がギルド長に尋ねるとギルド長は答える。


「マイーヤ村はゴブリンどもに占領されたよ、その件でタクミ様に確認がある」


「なんだい?」


「ギルドは、ゴブリンに占領されたマイーヤ村を奪還するために動く事になる。領主からの要請で騎士団と冒険者ギルドの共同作戦だ」


「え! ゴブリン達はどうなるのー?」


ノワが会話に割り込んで来た。


「倒されるだろうね」


「酷い、彼らは国が出来る前からあの場所に住んでいたのに……」


「タクミ様はゴブリン達の動向を気にしていた様なので、このまま進めても問題ないか? 」


「問題ねぇ……」


「タクミ様と敵対する可能性はあるのか?」


「う~ん。問題と言えば問題だが、ギルドの参加を止めても、領主の騎士団は止まらないのだろう」


「うむ、その通りだ。ギルドと領主の関係が悪くなるだけで、マイーヤ村は奪還されるだろう」


「そうだよなぁ。ノワ、この都市にも草がいるんだろ?」


「いるよー」


「サトウ国とは連絡が取れるかい?」


「取れるよー」


「サトウ国? 草?……」

ギルド長は不思議そうな顔だ。


「ギルド長、俺達の事は秘密だぞ!」

ちょっと睨んだ。


「は、はい。誰にも言いません。」

ビビって怯えるギルド長。

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