第156話 リシオジに戻った
俺とブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リンと、剣聖ルイの4人は城壁都市リシオジに戻った。
城門前には大勢の人が溢れていた。
難民?
「マイーヤ村の人達の様ですねー」
ノワが耳をピクピク、鼻をスンスンしていた。
「へぇ」
音は会話を聞いているとして、匂いで分かるのかな。
「前に村で会った門番と、助けた子供達がいますよー」
おや、考えてる事が顔に出てたか?
「えへへ」
ニヤニヤ笑うノワ。
「そうすると、Cランク以上の冒険者も帰って来てるな」
「そうですね」
ルイが返事をした。
避難してきた人達を避けて、門番に冒険者証を見せ都市の中に入ると、真っ直ぐ冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドの中は、いつもより騒がしく人も多かった。
「特別依頼を受けていたCランク以上の冒険者が、帰って来たから人が多いですね。」
ルイが近くにいた冒険者の、首から下げた冒険者証を見て俺に言う。
「そうみたいだね」
俺も近くの冒険者の冒険者証を確認した。
Cランク、Cランク……、お!Bランクもいる。Aランクは見当たらない。
俺達は受付に並ぶ列の最後尾に並ぶ。
受付前で何だか揉めてる。
「おい、常設依頼のゴブリン退治が無くなってるって、どう言う事だ! いつもあるから常設じゃないのか!」
「先日からゴブリン退治とコボルト退治は常設では無くなりました。私に言われても……」
「これ、どーすればいーんだよぉ」
ゴブリンの耳をカウンターにぶちまける冒険者。
「ですから、特別依頼で討伐した分の報酬は払います。今後は受付なれないんです」
「今後も頼むよー」
「ダメなんです。」
くくく、俺は隠し笑いを浮かべた。
そんな受付嬢のカスザが、列の後ろに並んだ俺達を見掛けて、受付業務を中断しカウンターを出てこちらに駆け寄って来た。
ああ、また受付を優先するのかな。厄介事にならなきゃ良いが。
俺は暴れるだけだが、冒険者達が可哀想だ。
これってフラグか?
「タクミ様、ギルド長がお待ちですので、執務室の方へどうぞ。」
「あ! はい。」
フラグじゃ無かったみたいだ。
またかと思ったよ。
優先で受付に案内されて、横入りしたと絡まれるよりいいか。
俺は素直に返事をするとカウンターに入りギルド長の執務室に向かう。
「あっ、場所は分かりますので、案内は不要です。カスザさんは受付に戻ってください。」
俺達を執務室に案内しようとしたカスザを押し止め、受付の業務を再会させる。
何だかギルドの中に居る冒険者達が、俺達を見てヒソヒソ話してるから、嫌な予感もしたしね。
カスザがこのままギルド長の執務室に案内したら、何か言われそうだ。
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