第159話 ゴブリンキング
リシオジの騎士団と冒険者達が、マイーヤ村に進軍した日、俺とブラックジャガー獣人のノワと、ジャイアントハーフの聖騎士リンの3人は、マイーヤ村の近くに潜み、成り行きを見守っていた。
マイーヤ村のゴブリン達は、手に武器を携えて迎撃の準備に余念がない。
その時、マイーヤ村の入口前に空からヒッポグリフに乗ったゴブリンが降りてきた。
「ゴブオ様あああああ」
歓喜に湧くゴブリン達。
ヒッポグリフから降りたゴブリンは、村の中にいるゴブリンに比べて二回り程大きい、まるで小さめのオーガだ。
鎧を着て槍を持ち威風堂々としており、手で合図をするとゴブリン達は静かになって、ゴブオの言葉を待つ。
「サトウ国にあんなゴブリンいたっけ?」
俺は小声でノワに尋ねた。
「進化したらしいですよー。サトウ国は戦争続きですから、レベルも相当上がってますよー。」
「進化? 何に進化したんだ」
「ゴブリンキングでーす」
「はぁ?」
ゴブリンキングって凄過ぎでしょ。
「マイーヤ村に何人来たの?」
「3人って言ってましたー」
「3人! もしかしたら、みんなゴブリンキングなの?」
「そうでーす。みんなヒッポグリフに乗ってまーす。」
「マジか……」
マイーヤ村から、もう1人のゴブリンキングも出て来て、ゴブオに片手を上げた。
ゴブオはそれに応えた後、村の中にいるゴブリン達に大声で告げる。
「人族達は総勢300人で進軍してきたぁ! これより戦闘に突入する! 準備はいいかああああああ!」
「うおおおおおおおおおおおお!」
ゴブオの言葉にゴブリン達が大声で応える。
「おいおい、ゴブオ達が戦う気か?」
「そうみたいですねー。どうなの?」
ノワは後ろにいる者に尋ねた。
ん?
ノワの後ろには、1人のゴブリンキングが跪いていた。
「ゴブマルと申します。タクミ様のご尊顔を拝しまして恐悦至極に存じます。我々3名は同胞に対する仕打ちに憤りを感じ、馳せ参じました」
「ふむぅ、逃げるゴブリンを保護するんだよね」
「勿論です。ノワ様からもその様に仰せつかっております」
「300人の敵に一当てして逃げるつもりか?」
「いえ、300は倒します。その後、堂々とサトウ国へ帰ります。」
「え? マイーヤ村には戦えるゴブリンが30人しか、いないんだよね?」
「いえ、サトウ国の名前を出しただけで、あっという間に近隣の亜人が集まり600人を越えました。あと2、3日あれば、1000も越えたでしょう」
「マジか? ルイがヤバいじゃん、ゴブリンを殺さないで、様子を見るなんて出来ないなぁ」
「ですよねー」
「ノワ、ルイとギルド長に極秘で教えて、機を見て逃げる様に指示して来て、マイーヤ村には多く見積もっても100人だ、あと500人は要撃だろ? 前後左右から包囲殲滅されるぞ」
「分かったー。」
「流石タクミ様、ご明察の通りでございます。」
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