第141話 マイーヤ村2

俺達はゴブリンに襲われていた男女の子供を、マイーヤ村に送ってきた。


「私はAランク冒険者のルイだ。ゴブリンに襲われていたこの村の子供を助けたので、送ってきた」


「おお、ノシナとトマツモじゃねえか。無事だったのか、心配したぜ」


「クサおじさーん」

ノシナとトマツモは門番の男に抱き付く。


門番の男は2人を見て、顔を綻ばし2人を抱きしめた後、俺達を向いて真剣な表情になった。


「俺は門番のクサ、2人を助けてくれて有難う。礼を言うぜ。」


「俺はタクミだ。礼には及ばん」


クサは俺とルイに頭を下げるが、リンとノワには微妙な顔で見るだけだ。


「助けて貰って申し訳ねえが、この村に、亜人を入れる事は出来ねえ」


そうだと思ったよ。

ノワとリンを見る目があからさまだ。


「いや、良いよ。2人を届に来ただけだ。リン戻るぞ」

ノワとリンに対する態度が気に入らな

い、気分が悪いなぁ。


「はい」

リンは御者席に戻り、ノワと俺は馬車に乗り込む。


ルイは一瞬不満そうな顔をするが、無言で馬車に乗り込む。


ルイが馬車を操りマイーヤ村を離れた。


「ルイ、不満そうだな、別に御礼が欲しくて助けた訳じゃないんだろ?」


「それはそうなんだけど、ノワとリンに対する態度は気に入らない」


「それは、俺も同感だ。ちょっとゴブリンも方を探ってみるか」


「え!ゴブリンのところを?」


「そうだ。ノワ、ゴブリンの集落を探ってくれ」


「畏まりー」


ノワは馬車から飛び降りて姿を消す。


俺達は地竜の馬車を走らせると、少し進み休憩出来そうな開けた場所に止めた。


「ノワが戻るまで、ここで暫くモンスターを狩って野営するぞ」


「は、はぁ。分かりました」

ルイは納得が行かないが、従う事にした様だ。


その後俺達は数日、狼系や猪系、鹿系、虫系のモンスター等を狩って野営をした。


Aランク冒険者であるルイが食事を作る。ノワには負けるが、ルイはそこそこの料理の腕前で、リンも満足げだ。


その間、リンによるルイの剣の修行も続き剣の腕前も少し上がったかな?


数日なので目を見張る様な向上では無いけどね。


しかし狼系のモンスターはそこそこレベルが高かったので、ルイのレベルは若干上がった様だ。


そんな感じで過ごしていたら、ノワが戻って来た。


「タクミ様、戻りましたー!」


「おう、ご苦労さま。先ずはそこに座りな、お茶を入れよう」


食後のお茶を飲んでた俺は、立ち上がりノワのお茶を入れて、椅子に座る様に促す。


「ノワが戻ってきたみたいだ。修行は中断しよう」

リンは短槍と盾を収納しルイに話し掛けた。


「はぁはぁはぁ、承知しました」

へとへとのルイも剣のを鞘に納めた。


ノワの帰還を知ったリンとルイも、修行を中断して戻って来たので、みんなで報告を聞こう。

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