第140話 マイーヤ村

ゴブリン達に襲われている子供2人を助けに来た剣聖ルイは、ゴブリン達を問答無用で斬った。


棍棒で殴り掛かるゴブリン。


棍棒を左斜めに躱し、首を横から斬り落とす。そして回転して袈裟斬り。それからしゃがんで足を斬った後、立ち上がりざまに下から上に斬る。その後、カウンターで剣を貫き、逃げるゴブリンを背中から斬る。最後に倒れて呻くゴブリンの心臓を突き刺す。


あっという間の出来事だった。


ルイは剣を構えて周りを見ると、生きているゴブリンはもう居なくなっていた。


無言で剣の血糊を振り払い、布で剣を拭いて鞘に納める。


カチンッ!


「もう大丈夫だ」

子供に微笑み掛けるルイ。


気絶している男の子をお姫様抱っこして歩くルイ、女の子はルイの服の端を掴んでついてくる。


俺達が待つ馬車までルイは男の子を抱っこしてきた。


女の子はリンとノワを見てビクッとした。


リンが男の子を受け取ると、横に寝かせて回復魔法を掛ける。


ルイが女の子の頭を撫でて、女の子に話し掛ける。

「怖かったでしょう。もう大丈夫だよ」


ノワは温かいスープを作っていた。


「温かいスープでも飲んで落ち着きなー」

と言って、スープの入ったコップを女の子に渡すノワ。


震えた手でカップを受け取る女の子に、俺は名前を告げる。

「俺はタクミだ」


ルイ達も名を名乗る。

「私はルイだ」

「私はリン」

「ノワよー」


「わ、私はノシナ。この人はトマツモです」


「この子達は、何故ゴブリンに襲われてた?」

俺は血の臭いがするルイに聞いた。


「何で襲われてたの?」

ルイがノシナに尋ねた。


おい、ゴブリンに聞いてないんかい。


ノシナは俯き口を固く閉ざす。


「怖い目にあってたんだ、それを聞くのは、今じゃ無くても・・・」

ルイは俺に目配せする。


「ルイ、ゴブリンは皆殺しか?」

俺は血の臭いがしたので、ルイに聞いた。


「はい。こんな子供を集団で襲っていたので・・・」


「ふ~ん。ノシナの住んでる場所は近くかい?」


「は、はい。近くにあるマイーヤ村です」


「取り敢えず、スープを飲んだら村まで送ろう」


ルイがトマツモをを抱っこして、馬車に乗せて、ノシナも馬車に乗り、ノシナの案内でマイーヤ村に向かった。


馬車がマイーヤ村に着いた。


マイーヤ村は、簡易的な木の柵で囲っており、新しい開拓村って言う印象かな。


家も少なくて、田畑も開墾中みたい。


革の鎧を着た体格の良い門番の男が、長槍を持って村の入口の前に立っていた。


地竜を見て驚きの表情で誰何する。


「うぉっとぉ!馬鹿でかい地竜の馬車じゃねえか。お前等何者だぁ? この村に何の用だ」


リンが御者席から降りて、男を上から見下ろす。


馬車からルイ、トマツモ、ノシナと俺が降りて、最後にノワが降りた時、門番の男は眉を顰めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る