第123話 村人の行進

俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワと、剣聖ルイの4人は森を走っている。


「はぁはぁ、まだ追い付かないのか?」


ルイが息を切らせながら、どうにかついてくる。


俺達はミーズ村の村人とラナ王女達を追っていた。


「もうちょっとよー。」


走るのはノワが1番だ。


特に森の中のノワは更に速い。


先頭を走るノワが立ち止まった。


「いたよー。」


しなやかな足腰が地面の凹凸を吸収し、力強く蹴り走る。


ミーズ村の村人達が夢遊病者の様に1列になって、無言で歩いていた。


列の中にラナ王女や冒険者、騎士達も見える。


「魅了されてるみたいですねー。」

とノワ。


「魔法で解除しましょうか?」

とリン。


「いや、何処に向かってるのか、知りたい。もうちょっと様子を見よう。」


「分かりました。」


「モンスターに襲われないのかなぁ?」

とルイが心配そうにしている。


「ん~。悪魔の魔力が薄ら漂っているから、モンスターは襲わなそうだねー。」とノワ。


「まあ、襲われそうになったら、追い払ってやろう。」


「そうですね。」とルイ。


俺達は少し離れて一緒に列の横をついていくと、前方に洞穴の入口が見えてきた。


「あそこに向かっているみたいだな。」


「そうですねー。ダンジョンみたいですねー。」


「ダンジョン!」

ルイはダンジョンらしい洞穴を凝視する。


「ちょっと先回りして見てみるか。」


俺はダンジョンに向かって走り出すと、ノワとリンとルイがついてくる。


先回りし、洞穴に着いて中に1歩入る。


ノワが洞穴の壁を叩いたり削ったり、匂いを嗅いで、耳をピクピクさせたりしながら調べる。


「ダンジョンですねー。」とノワ。


「やっぱりそうか。」


「ダンジョンの奥から悪魔の魔力が列に流れて、誘導してるみたいですねー。」


「悪魔の目的は分からないが、村人消失のカラクリは判明したな。」


「そうですねー。」


「リン、村人達を元に戻してくれ。」


「承知しました。」


俺達は村人の列に戻ると、リンが魅惑解除の為、列全体を浄化した。


すると。


「こ、ここは何処だ?」

「お、俺は何してたんだ?」

「何でこんなところに・・・。」

「おい、俺達どうしたんだ?」

「確か村に悪魔が現れて・・・。」

「お母さん!」

「シイタ!無事だったのね。」


村人達は親子や兄弟、知人の姿を確認すると集まり、無事を確認し安堵すると同時に、ざわめきだし、辺りをキョロキョロ見回したり、不思議そうにしていた。


「ラナ!サッサと城に帰って、騎士達をここに連れてこい。」

俺はラナに声を掛ける。


ハッとして辺りを見ていたラナは、俺の言葉を聞いて、俺がいる事を知り、近付いて来た。


「タクミ!貴方が悪魔から私達を救ってくれたのね。」


「そうだ。村人達を連れて、直ぐにここから逃げろ。」

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