第55話 インプ

俺とジャイアントハーフの聖騎士リンと、ブラックジャガー獣人のノワがダンジョンを目指して歩いていている。


その後ろから狐獣人の薬師ババが追ってきた。


「ノワ!今のは何じゃ?何故ファルゴは死んだのじゃ?」


「天罰だよー。」


俺が時を止めて、聖剣で斬ったんだけどね。


「て、天罰じゃと・・・。」


「そだよー。タクミ様に敵対すると、天罰が落ちるから気を付けてねー。」


「むむ。タクミ様は何者じゃ。」


「それは、聞かない方が良いな。」

リンがババに答えた。


「そだよー。秘密なのー。」


「ひ、秘密じゃと・・・。」


「そそ。気を付けてねー。」


「むむむ・・・。何が何だか分からんのじゃが、規格外じゃのう。」


そうこうしてると、俺達はダンジョンの入口に着いた。


「さあ、入るぞー。」

「はーい。」とノワ。

「承知しました。」とリン。

「了解じゃ。」とババ。


「先頭はノワね。探知は任せるぞ。」

「はーい。頑張るー。」


ノワは猫科のブラックジャガー獣人だ。音探知と匂い探知と魔力探知のスキルがある。


あまり知られていないが、猫科の獣人は匂い探知は犬獣人より劣るが音探知は犬獣人より優れている。


更にブラックジャガーは闇属性の魔法に長けており、魔力探知も使える為、探索者シーカーの能力が高い。


「レベ上げ重視で行きますかー。それとも階層突破重視ですかー?」


「レベ上げ重視だと魔物と出来るだけ戦い、階層突破重視だと出来るだけ敵と合わないルートを進むっていう事かい?」


「そーですー。」


「取り敢えずレベ上げ重視だな。」


「分かりましたー。」


「ところでババ様は戦えるのかい?」


「あ、敬称は要らんのじゃ。『ババ』で結構なのじゃ。」


「お、おう。分かった。」


「ババ様は強いよー。」


「いやいや、お嬢、この面子でハードルを上げないで欲しいのじゃ。そこそこ戦えるぐらいじゃろう。」


「えー。強い癖にー。」


つんつん。


ノワはババの脇腹を人差し指でつんつんした。


「ひゃいっ、くすぐったいのじゃ。」


「ふ~ん。まあ、戦わなくても良いよ。」


ほっと息をつくババ。


ダンジョンの中は洞窟。

上下左右に固そうな土。


薄ら明るい。光源は天井にあった。光る石が天井の所々にはまっていた。


洞窟は割と広い、横幅は5人程度並んで歩いても余裕があるぐらい。


天井は高く、一般の人がジャンプしても触れない程度か。


「前からモンスターが来るよー。」

ノワの耳がピクピク動く。


「了解。」

俺達は臨戦態勢になる。


「インプが5体だよー。」

ノワが鼻もヒクヒクさせた。


前から5つの影が見えてきた。


黒い身体のモンスターが、蝙蝠の翼でゆっくりと飛びながら近付いて来た。


インプは小さな悪魔と言われるモンスター。


尖った耳、赤い眼、先端が鉤の形になっている長い尻尾。短い角が2本と鋭い牙、爪を持ち魔法を使う。


「ケケケッ、エモノガイタゾ。」

「ケケケケ、ハラヘッタナー。」

「マズソウナヤツラダ。ケケケ。」

「キケケ、クッチマエバオナジダ。」

「キケケケ、クッチマオウゼ。」

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