第39話 ジャガー獣人族長コーサカ

フカクオ公爵居城執務室。


執務机前のソファーにふんぞり返るフカクオ公爵。

「牧場の奴隷兵はまだ来ないのか?」


ソファーの横に立ち公爵の問に答える宰相。


「はい。呼びに行った者も戻りません。それどころか斥候や確認に行った者も戻らない始末です。」


「何が起こってるんだ。」


「分かりかねます。しかし、商人の行き来は以前と同様に出来る様です。」


「商人に間者を紛れ込ませれば良かろう。」


「紛れ込ませたのですが、間者だけ牧場に向かう途中で死にます。」


「し、死ぬ?」


「はい。しかも原因不明の死因です。」


「うぬぬ。商人達から話は聞いたのか?」


「はい。通常と変わらぬ応対だったと聞いております。しかし、購入する量が極端に増えたとの事。牧場で働く者も増えている様子。」


「むむ、謀反の兆しだな。」


「そう判断するしか無いかと。」


「くぅ、聖騎士リンだけでも、手がいっぱいなのに・・・。」


「はい。」


「寄子の騎士達が到着次第、息子のアキラを旗頭に牧場を制圧させよう。」


「畏まりました。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃牧場には、続々と獣人や亜人が集まって来ていた。


その中でジャガー獣人の族長が、俺に面会を申し入れして来た。


ジャガー獣人の族長と言えば、ノワの母ミズキの親だ。


ノワの祖父か祖母に当たるはず。


俺達は牧場の応接室でジャガー獣人の族長と合う事にした。


ミズキの案内で応接室に入って来たのは、偉丈夫なジャガー獣人の男。


身長は2m弱のノワより大きい。2m超のリンよりも大きいか?


落ち着いた眼をしている壮年に差し掛かった年齢、しかし威圧感が半端ない。


右にノワの母ミズキと、左に同じくジャガー獣人の男を従えていた。


3人は俺に跪く。


「ジャガー獣人族長のコーサカで御座います。隣は息子でミズキの兄のキョータカで御座います。この度は、我々獣人と亜人の為に色々とご尽力いただき有難う御座います。」


お、強そうだけど、腰は低いんだね。

キョータカも強そうだ。


「タクミです。宜しくお願いします。

俺は王族ではないので、跪かなくて結構です。どうぞお掛け下さい。」


「はい。お言葉に甘えさせていただきます。」


そう言ってコーサカが俺の対面のソファーに腰を降ろすと、ミズキとキョータカはコーサカの背後に立つ。


「ジャガー獣人は森の王者と聞いておりますので、森の勢力を纏めていただく事を期待しております。」


「はい。心得ております。小さな森ですが、森の住民達は何時でも戦える体勢を取りました。」


「おお、良いですね。では、牧場の武器と防具で使えそうな物をお渡ししますので、装備を整えて下さい。」


「承知しました。」


さて、オクオ達の亜人部隊と、ジャガー獣人が率いる森の勢力が揃ったら、男爵の領地に攻め込もう。

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