第10話 冒険者ギルド1

教会に暗殺者が侵入したので、お返しで王女を暗殺した次の日。


窓ガラスを暗殺者に割られたので、隣の部屋に移って、コボルトのコウキをモフモフして抱き枕にして寝ていた。


ノックの後、聖騎士のリンが入って来た。

「勇者様、朝食の用意が出来ました。」


「ん!う~ん、もうそんな時間か。勇者様はちょっとなぁ。隠したい時も有るから、タクミで良いよ。」


「それでは、タクミ様と呼ばせていただきます。」


着替えて教会の食堂に行くと、教主レンが待っていた。


「タクミ様、旅の準備が昼には出来そうです。」


「お、有難う。」


「それより、昨日の夜、王女が殺されました。城内は大騒ぎです。」


「ふ~ん。誰に殺された?」


「暗部に殺されたと言う噂もありますが・・・。」

レンは俺を疑いの目で見詰める。


「ははは、俺だよ。誰にも見られて無いはず。」


「やっぱり、昨日暗部の襲撃があったと聞いたので、もしかしたらと思ってました。」


俺はちょっと訝しめに教主を見る。


「大丈夫です。他言はしません。」


「暗部の動きが気になるな。暗部って何人ぐらいで誰が頭だ?」


「王家の極秘事項ですので、人数等の詳細は不明です。しかしフカクオ公爵が、詳細を知ってるはずです。」


「ふむ。暗部が俺達をまた襲うと思うか?」


「可能性が無いとは言えませんが、暗部単独で動く事はありません。王家の意向でしか動かないので、現時点での襲撃は無いでしょう。」


「指示する人がいないからだね。」


「そうです。」


「フカクオ公爵領はどの辺にあるのかな?」


「王家の領地の隣です。」


「ふ~ん。方角は?」


どうやらフカクオ公爵領は、俺が国外脱出するルート上にあるらしい。


途中でちょっと寄って行こうかと思った。


朝食を食べ終わり、冒険者ギルドに行くことにした。


冒険者登録しておけば、身分証明書となり、旅先の都市にも入りやすい。


俺とリンとコウキの3人で冒険者ギルドに向かった。


絶対テンプレあるよなぁ。

リンがいるから大丈夫か?


王都の冒険者ギルドはこの国のギルド本部でもあり、かなり大きい。


俺達は冒険者ギルドの扉を開けて中に入った。


1階は受付カウンターと酒場になっていた。


時間的にこれから依頼を受ける冒険者達が、受付に並んでいた。


1番並んでいる人数が少ない列の最後尾に並んでみた。


掲示板から依頼書を剥がして一人の冒険者が、俺達の後に並ぶ。


「おい、お前等見かけない顔だな。」


来たよ。来た来た。

これテンプレ?

絡まれるの?


「私の顔を知らないのかな?」

聖騎士のリンが男に振り向く。


男も身長が高めで180cmぐらいあるが、リンは2mを超えるので、男の顔はリンの胸の高さだ。


リンが上から男を見下ろす。


「知らねえな。」

男は憮然として答える。


「騎士隊のリン・パーシヴァルだ。覚えておけ。」


「はぁ。偉そうに。態度がでかいな。でかいのは身長と胸だけにしろ!」

男はリンの胸を押す。


セクハラ発見!!

これは黙ってちゃいけない案件だ。


「おい、俺の連れに何しやがる。」

俺はリンと男の間に割り込んだ。


「ああ!何だてめえ。」

男は顔を斜めにして上から睨んで来た。


「タクミ様、ここは私に任せて下さい。」

リンも臨戦態勢になっていた。

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