第9話 侵入者

コボルトのコウキを購入し、奴隷契約を結び、同行する事とした。


俺は教主レンと聖騎士リンとコボルトのコウキの4人で教会に戻った。


旅の準備が出来るまで教会で待つ事にした。


お金はあるので、高級宿に泊まる事も出来るのだが、王家と敵対している現状、王女は奴隷にしたが、何かしらの介入がある可能性を考慮した結果だ。


教会は聖騎士隊という武力を保持しており、厳重な警備も王城に次ぐ。


コウキを仲間に加えて夕食を食べた後、部屋に戻って寛いでいると。


「主様、気になる音がするワン。」


「ん、何処から?」


「家の外の壁を、誰か登ってくる音だワン。」


俺はソファーに座っていて、後にリンが立っていた。


リンは素速く窓に近付き外を見る。


ガッシャーン!!


窓を壊し侵入者が現れた。


侵入者はナイフを投げて来た。


リンは腕輪より盾を展開し、ナイフを弾いた。


「ちっ。」

侵入者は直ぐ窓の外に逃げ出す。


俺は時を止める。


逃げ出す寸前の侵入者を拘束して、部屋の中に入れた。


時を動かす。


縄で縛られた侵入者。


「!!!」


窓から飛び降りる寸前だったのに、縄で縛られ、拘束されている事に驚きを隠せない。


「王女の差し金か?」


「・・・。」

黒装束の痩せ型の男は口を開かない。


だんまりかい。

リン、此奴に見覚えはあるか?」


「見た事は無いですが、その黒装束は王家の暗部の者と推測します。」


「暗部か・・・。」


男は無表情で無言を貫く。


「正面からでは適わないと思って、暗殺しに来たか。」


俺はレベル25になったので、最大250分間の時を止められる。


4時間と10分だ。


王城に侵入して王城の部屋に行く時間は充分ある。


「ちょっくら、此奴を返してくる。」


「え?」

驚くリン。


「一緒に行くワン。」


「良し、途中まで一緒に来てくれ。

リン、此奴を担いでね。」


「畏まりました。」


俺とリンとコウキの3人で王城近くまで歩いて来た。


リンから侵入者を受け取ると、俺が右肩に担ぐ。


「ここで待っててね。」

「畏まりました。」

「分かったワン。」


時間を止めた。


侵入者を担いで王城に侵入する。


痩せ型の小柄な男は軽く、俺はレベル25に上がって力もあるので、男を担いだまま塀も飛び越えられる。


時を止めてるので、警備も気にしない。


堂々と王城に入り、王女の寝室に入った。


時を動かす。


ドサッ!


男を放り降ろす音で、王女が振り向く。


「こんばんは、今度は暗殺かい。」


「え?何でここにいるの?」

驚く王女。


「何時でも殺せるけど、可哀想だから生かしててやったのに、俺を舐めてるのか、今度はアウトだよ。2度目は無いって言ったよね。」


「何でよ!何で生きてるの?王家の暗部は絶対失敗しないって言ってたじゃない!」


暗部の男を睨む王女。


俺は暗部の男が投げたナイフで王女の心臓を刺した。


そして同じナイフで暗部の男の喉を刺す。


暗部の男の縄をほどき、右手にナイフを持たせた。


レベルアップのメッセージが流れた。

<レベルが26になりました。>

<レベルが27になりました。>


時を止める。


俺は王女の首から奴隷の首輪を外し、堂々と王城を出て、リンとコウキの元に戻った。


時を動かす。

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