第6話 宝物庫
俺は奴隷契約した王女に案内させて、金庫がある王家の宝物庫に向かった。
宝物庫の扉の前には騎士が二人、槍を持って門番をしていた。
王女を見て跪く二人。
しかし、王女の首の奴隷の首輪を訝しげに見る。
「王女様、失礼ですが、その首輪はどうされたのでしょうか?」
「・・・。」
王女は顔を歪めるが無言だ。
「些細な事だ気にするな。勇者様に報酬を授ける為に宝物庫に用がある。退けなさい。」
教主が強引に通ろうとする。
「教主様、誠に申し訳御座いませんが、ここは王家の宝物庫です。王家の人以外の命令で通す事は出来ません。」
ふむ。もっともだね。職務に忠実な真面目な騎士なんだな。
「神の使徒である勇者様のご要望ですよ。」
教主は騎士に詰め寄る。
「しかし・・・。」
騎士も頑なに拒み槍を構える。
しょうが無いな。
王女が何とか言えよ。って思ったけど、王女は何も言わないで、目に涙を溜めている。
相当悔しいみたいだ。
騎士達も責任があるので、怪しいケースで通さないのは正解だ。
ここで殺すのは可哀想なので・・・。
二人の騎士の顎にフックを入れて気絶させた。
「この騎士達を縛って、お前達で見張りをしなさい。」
俺はついて来た9人の騎士達に指示した。
「はい。」
「教主もここで待機してろ。」
「畏まりました。」
騎士達が二人の門番を縛り上げるのを横目に、俺は王女を急かして宝物庫に入った。
俺は鑑定のスキルがある。
最上級の鑑定のスキル『神眼』だ。
宝物庫に入り、魔道具と武器防具を鑑定する。
良いのがあるじゃん。
宝石は要らないが、魔道具や武器防具は欲しいな。
「王女よ、魔道具と武器と防具を貰って行くぞ。」
俺は情け容赦が無いのだ。
「え!そ、そんな・・・。」
王女は悔し過ぎて涙が止まらない。
「大人しく10億円を出さなかったのが悪いのだ。」
俺って悪だなぁ。って思う。
「話しが違います。」
「煩い!そこで見てろ。」
俺はやりたい様にやるんだ!
そして全ての魔道具と武器と防具をアイテムボックスに入れた。
王女は恨みを込めて俺を睨み、怒りで震えが止まらない。
「金庫を開けろ!」
「・・・はい。」
王女は嫌々金庫を開けた。
俺は金庫の中の金貨を全てアイテムボックスに入れた。
10億円を優に超えている。
でも、気にしない。
俺は悪者だから。
王女は目を見開き叫ぶ。
「10億円と言ったのに!」
「大人しく出さなかったからね。有り金全部貰うって言ったぞ。」
「全て持っていかれたら、王家が潰れるわ!」
「知らんね。潰れれば良い。俺を殺そうとした罰だ。」
「くっ。」
「せめてもの情けで、宝石は残してやった。感謝するんだな。」
「・・・。」
王女は拳を握り締め、唇を噛んで、怒りに震えながら無言で悔しさに耐える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます