第4話 損害賠償と慰謝料を請求した

勇者召喚と言う名の誘拐をされた挙げ句、暴力を振るわれそうになったり、殺されそうになったり、奴隷にされそうになったりしたので、謝ら無いのかと王女に聞いたら。


「王家の者が平民に謝る事はありません!」

って王女に逆ギレされた。


「ふ~ん。神様は謝ってくれたんだけど、この国の王家は謝ら無いんだ。

神様より偉いと思ってるって事だね。因みにこの会話を神様は聞いてるからね。」


嘘です。

神様はそんな事言ってません。

はったりです。


「くっ。」


王女は怒り心頭に発しているのを、無理矢理我慢して、震えて顔を歪めながら、恨みの籠もった目で睨む。


教主が申し訳無さそうに、王女に耳打ちする。

「私達が全面的に悪い事は明白です。反論はありません。ここは謝りましょう。」


「謝ります!・・・これで良いでしょ!」

プンスカしながら、そう言い放った王女。


「良いわけ無いじゃん。それで謝ってるつもりか?」


馬鹿にしてんのか!


「これ以上謝るつもりは無いわ!

不敬罪で死刑に出来るのよ!」

両手を腰に当てて、胸を張って開き直った王女。


「ふ~ん。無理矢理誘拐した国の法律に従う気は無いね。」


「貴方ねえ、本当に魔王を討伐する気は無いの?魔王を倒さないと世界は滅亡するのよ!」


王女はこんな事言い出した。


「世界は滅亡しないよ。魔王は各国のトップに恨みがあるが、人類全てに恨みがある訳じゃ無い。人類の滅亡なんて考えてないよ。」


「何でそんな事まで知ってるのよ!」


「そもそも、現時点では魔王の脅威が無い事も知ってるよ。勇者召喚を理由に周辺国から討伐費用を集めて、他国へ侵略したいんでしょ。」


「うっ。それも神様に聞いたの?」


「神様が嘆いてたぜ。魔王討伐を理由に侵略戦争をしようとしてるなんて、神様を何だと思ってるんだ。」


教主は目を閉じて顔を伏せて、祈りのポーズになった。

神様に許しを請うているのだろうか?


「魔王討伐はしないのね!」


「しないよ。」


「じゃあ、出て行きなさい。魔王を討伐しない勇者なんて不要よ!」


「勿論、この国から出て行くよ。」


「サッサと消えなさい!」

キイイイイ!!って言う感じで、怒りモードになる王女。


「その前に、損害賠償と慰謝料として10億円程、用意してくれ。そのくらい貰わないと納得出来ないぞ!」


この世界の通貨単位は日本と同じだ。

勿論、紙幣は無いので、1万円金貨、千円銀貨、百円銅貨、10円鉄貨があるらしい。


因みに貨幣価値は現代日本とほぼ変わらない。


分かり易くて良いね。


「はぁ!魔王も討伐しないで他国へ行く勇者に、国民が血と汗を流して納税した税金から、びた一文払う気は無いわ!」


「税金から払うなよ!お前の責任なんだから、王家の貯蓄から用意しろ!」


「イヤよ!あんたなんかに払うお金は無いわ!」


「ふ~ん。じゃあ勝手に持ってくよ。止められるなら、止めてみな。有り金全て貰ってやる。」


王女は目を見開き叫ぶ。

「言ったわね!

皆!此奴を殺しなさい!」


騎士達は再度武器を構える。


今度は後にいた騎士達全員と、召喚の間の外から物音を聞いて門番をしていた騎士も加わった。


騎士は全員で14人いた。


大人しく金を出せば良いのに、ハードモードになったぞ。

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