第3話 奴隷にされそうになった
俺に倒された騎士隊長が呟く。
「しょ、召喚直後の勇者は、レベル1のはずなのに何故・・・。」
「レベル1だよ。」
「だったら何故俺達に勝てるのだ。」
「教える訳無いだろう。召喚直後の勇者はレベル1だから弱いと知ってて、暴力で言う事を聞かせようとしたな!弱い者苛めして楽しいのか?」
「・・・。」
「そして、誘拐した上に嘘を看破されたら殺そうとしたな。盗人猛々しい。」
「俺は殺そうとしていない。」
「お前はな。だが此奴は刃を向けて斬り掛かって来た。当たれば死んでたぞ!」
俺は、首が無くなった死体を指差す。
「ところで、騎士隊長さん。あんたは俺を叩きのめした後、どうする気だった?」
「何故、俺が騎士隊長と知ってる?」
「そんな事、教える訳無いだろう。
それより、どうなの、叩きのめした後、どうしようと思ってたの?」
「いや、無礼な口調だったので、身を以て教えようとしただけだ。」
「うっそだぁあああ。」
「何故、嘘だと言う。」
「だって、あんたの左腰についてるのは、奴隷の首輪だ。いざとなったら、叩きのめした後、奴隷にする気だったんだろう。」
「こ、これは・・・。そういうつもりでは・・・。」
慌てる騎士隊長。
「神様から聞いたよ。昔、無礼な勇者が袋叩きに遭った後、奴隷にされて無理矢理魔王退治をさせられた事があるらしいじゃん。その人も最後には殺されたんだってね。」
「し、知らない・・・。」
騎士隊長は王女を見た。
王女は無表情で首を振る。
「その気が無かったら、何でそんなの持ってるの?普段は持ち歩いて無いでしょう。」
「そ、それは・・・。」
「元々違う世界から無理矢理呼ばれたんだからさぁ。この世界の礼儀なんて知ってる訳無いじゃん。ちょっと言葉使いが悪いからって、袋叩きにした後奴隷にするなんて、酷いよね。」
「・・・。」
「俺も奴隷にしようと思ったんでしょ?」
「・・・。」
「ど・う・な・の!」
「うっ・・・。」
「ねえ、王女さん!その為に騎士隊長に奴隷の首輪を渡したんだよね!
騎士隊には奴隷の首輪が無い事は知ってるよ。」
俺は騎士隊長から王女に向き直る。
「それも神様から聞いたのですか?」
王女は俺を向いて答えるが、ちょっと悔しそうだ。
「そんな事はどうだって良いんだよ。否定しないって事は、俺を奴隷にする可能性があったって事だね。これ、完全にアウトですよ。2度は無いよ。」
「・・・。」
王女も騎士隊長も何も言えなくなった。
「俺を異世界から誘拐した事。次に俺に暴力を振るおうとした。そして俺を殺そうとした。最後に俺を奴隷にしようとした。
こんなに酷いことをして、お詫びも無いのがこの国の常識なのかな?
神様だって速攻で謝って来たよ。」
「す、すみません。」
教主と騎士隊長はすかさず謝る。
しかし、王女は口を歪めて睨む。
「ふ~ん。王女はお詫びもしないで睨むんだね。」
「王家の者が平民に謝る事はありません!」
王女は怒りを抑えきれず叫ぶ。
逆ギレかよぉ!
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