第一章 視えるんです
-更に、1週間が過ぎた。真琴は、もう、すっかり元の姿に戻っている。3人は……とはいえ、見えてるのは秋人だけだが、真琴と出会った公園へ向かった。真琴が立ってた場所には花が手向けられ、その前で一人の少年が手を合わせ、泣いていた。秋人は、少年の側に静かに歩いて行き、声を掛ける。
「北村 佑樹(きたむら ゆうき)さん?」
秋人の声に振り向き、佑樹は、眉を寄せ見つめる。
「……誰?」
軽く瞳を閉じると、秋人は、こう言った。
「橘 真琴ちゃんが、あんたに伝えたいことがあるんだってさ。今、会わせてやるから、話を聞いてくれるかな?」
「何、言ってんだ?お前?」
更に、眉を寄せた佑樹に、溜め息混じりに秋人は言う。
「まぁ、いいから。」
秋人は、瞳を閉じると、深く息を吸い込み、両手を高く上げると、真琴の真上にかざす。秋人の両手から優しい金色の光が出ると、真琴の姿が現れた。
「佑樹。」
「ま、真琴?」
佑樹は声を震わせ、真琴に近付く。
「佑樹…ごめんね。毎日、ここに来てくれてたんだね。私、知ってるよ。」
「……真琴!」
佑樹は、光輝く真琴の身体を強く抱き締める。
「佑樹、ありがとね。もっと…もっと、佑樹の側に居たかった。もっともっと、佑樹と生きていたかった。でも……私、逝かなきゃ。」
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