第一章 視えるんです
「……帰ろう。」
へたり込んでる有里に手を差し伸べ、秋人は言った。有里は、秋人の手を取り立ち上がる。
「いいの?放っておいて。」
「俺には、何も出来ないよ。」
呟くと、秋人は先に歩いて行く。有里も、しばらく、その場にいたが秋人を追って駆けて行った。
-分かれ道。有里は、にっこり笑って秋人に言った。
「また、明日ね。明日は、ちゃんと学校へ来るんだぞ。じゃあね!」
「うん、じゃあ。」
有里に手を振り、彼女の姿が見えなくなるまで見送ると、秋人は腕を組み、軽く息をついた。
「さて……。君は、いつまで、ついて来るつもり?」
自分の右横を見て秋人は静かに、そう尋ねた。先程の少女が相変わらず口をパクパクさせ、秋人の隣に立っている。秋人は、右手をスッと上げると、人差し指を少女に向ける。
「消えたいの?」
しばらく、少女を見つめていたが、彼女の見つめる、その闇のような瞳に、フゥーと深く息をついた。
「仕方ないね。麗香さんなら、分かるかな?同じ幽霊だし。……おいで。」
優しく呟き、秋人は再び歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます