第十七章 帰ってくる


俺の中学からの親友、将斗が同じく中学の同級生、由美と結婚して、今年で5年になる。


付き合っていた頃も、そうだが、とにかく仲の良い二人で独身である俺からすると、羨ましい限りである。


将斗と由美には、共通の趣味があった。


それは、登山である。


休日の度に、二人で出掛けては、登山を楽しんでいた。


そんな、ある日。


仕事が休みで、やる事もなく、家で、ゴロゴロと暇をしていた俺のスマホに着信があった。


見ると、将斗からである。


「もしもし。」


俺が出ると、電話の向こうから、将斗の声が聞こえた。

何となく、落ち込んだような声だ。


『あー、ごめん…今、大丈夫かな?』


将斗の声に、俺は、少し鼻で笑って言った。


「どうした?元気ないじゃん。由美ちゃんとケンカでもしたかー?」


俺の言葉に、将斗は、一瞬、黙ったが、しばらくすると、こう言った。


『………由美が……死んだ。』


俺は、言葉を失った。黙っている俺に、将斗は、声を震わせる。


『今から、俺の家に来てくれ。………頼む。』


頭が真っ白になった俺は、その後、何を話したか分からないが、とにかく、将斗の家へ向かうことにした。

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