第十七章 帰ってくる


将斗の家に着き、玄関のインターフォンを鳴らすと、中から、ゲッソリとやつれた将斗が出てきた。


「お前…大丈夫か…?」


「あ…ああ。中に入ってくれ。」


将斗に言われ、俺は、中に入る。


部屋の奥に案内され、そこに入った俺は、目の前にある由美の写真に、目がいった。


長いテーブルの上、写真の中の由美は、にっこりと微笑んでいたが写真を入れた額縁には、黒いリボンがかけられていた。


そして、写真の横には、花瓶に入った花と、泥だらけに汚れた、白いスニーカーが置かれていた。


「いったい、何があったんだ…?」


二週間前に会った時には、とても元気にしていたのに、まさか病気だったわけでもないだろう。


俺がいろいろ、頭の中で考えていると、将斗が震える声で、話し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る