第14話 天使降臨



 萌絵ちゃんは綾香の前に立った。


「大変だったんですね。つらかったんですね。もう一人で悩まないでください」

「あんたに何がわかるのよ」

「全部はわかりません。でも少しなら。私も失恋したことがあるんです。つらいですよね。胸がはりさけて、振り向いてくれないのが悲しくて、涙がとまらなくなってしまいますよね」


 暴れる綾香は、そのうち無抵抗になってうなだれた。


 そして、ポツリと言葉をこぼす。


「あんたを恨んでも意味がないってわかってた。でも幸せそうで、くじけたことがないって思ったら憎たらしくなってきて」

「悲しいのも、憎く思うのも理屈じゃないんですよね。悪くなくても悪い事思っちゃうんですよね」


 萌絵ちゃんはなんか主人公とかヒロインがいうような事を言って、綾香を説得している。


 これが友人が惚れた女か。


 考えてみると、三人の男に同時に惚れられてるんだもんな。


 人間としての格が違うってことか。


「大丈夫です。綾香さんならきっと素敵な人に出会えますよ」

「うわぁぁぁん」


 なんだかよくわからないうち、修羅場がおさまっていた。

 あ、ごみ教師は許せないので、通報しておこう。


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