真剣だった

「真奈、と伊月……何してるの」


息を切らせて入ってきたのは、兄だった。

「別に何でも」と言い外に出ようとすると、腕をとられ引き留められた。

「嘘、全部見てたし。本当に告白するなんて思わなくて、凄く焦った」

そう漏らした兄の表情は、とても心配そうだった。

真奈も「暁夜くん大丈夫なの」と気にかけている。


ああ、もうやってらんねぇな。


そう思うのと同時に、安心もした。

兄が彼女に向ける想いの真剣さに、触れられたからだ。


ショックではあるけれど、完敗だったな。

目の前の光景は、俺にその事実を叩きつけてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

告白 景文日向 @naru39398

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ