やっぱり先輩は・・・

『白雪姫の女騎士』、白雪桜子には一つ囁かれている噂があった。

百合。同性愛者と囁かれている。ただどこから広がった噂なのかはわからないがそんなことが学園内では噂されている。信じている人も信じていない人もいるが正直あんなに美人な人に好かれるなら女性も男性も歓迎だろう。

でも私は思った。


唇に触れた時のあの顔は私と同じ顔もしていた。


そう、私は女性が好き。誰でも好きというわけではないし、ちゃんと恋愛として好きになる人が女性なだけだ。といっても初恋はこの学園でが初めてで恋愛もちゃんと経験していないからまだ子供だとは思うけど…。


「……(白雪先輩の唇、やわらかくて思ったより薄かったな…。)」

学校が終わり寮への帰り道のことだった。


「ゆずさん。」

「っ…白雪先輩…!」

白雪先輩の声がいきなり後ろから聞こえ急いで振り向く。


「お疲れ様ですっ、ど、どうされました?」

「お疲れ様。…ん~、ここじゃいいにくいからちょっと場所移ろっか。」

そういうと白雪先輩は寮の方へと進み『おいで』といわんばかりに後ろの私へ微笑み振り向いた。



――…

寮に着き、階段裏にあるマットに座りながら二人で話す。


「ごめんねこんなところで…部屋には相方がいるから部屋にもいけなくて…」

すこし申し訳なさそうに微笑む。

「いえ…それでどうされたんですか?」

両手でそんなことないと小さく振り話を聞いてみる。


「…ゆずさん、いえ、ゆずと呼ばせてもらうわね。単刀直入に聞くけど、ゆずも同性愛者かしら?」

胸が跳ね上がった。まさか白雪先輩も同じことを…。


「え…それはどういう……いえ、やっぱり先輩は…」

「えぇ、女性が好きだよ。」


少しの沈黙が続く。気まずいとかではなく驚いているのだ。


「…ゆず、少し抱きしめてもいいかしら。」

「……はい」


なにも否定も抵抗することはない。だって私は、


私の初恋は、白雪先輩だから。


――…

キスをしてどのくらい経つだろうか。一分?五分?とても長くキスをしているような、まだしたりないような…。時間が止まっているように感じる。


「……いきなりごめんなさいね、その…ついゆずが可愛くって。」

唇を離し、ちょっと照れ臭そうに白雪先輩は私の髪を撫でる。私は自分が思っていたよりも素直に受け入れてしまった自分にビックリしたのと、キスをしたんだという事にまだ少し恥ずかしさからの動揺を隠しきれない。


「へぁ…いえ…私もまだしたりないというか……ぁ」

動揺からか言うつもりのなかった気持ちがこぼれ、顔が真っ赤になっていくのが自分でわかるほど体中、顔中が火照ってゆく。

恥ずかしさに思わず自分の手のひらで顔を覆ってしまいたいが、その手は白雪先輩が握ってしまっている。


「ほんと…?じゃあもっとしていい…?私もしたい。」

白雪先輩に座っていたマットに押し倒される。

「せんぱ…」

「桜子でいいわ。…ね、ゆず…私たちつきあお?」


桜子さんの指で唇をなぞられ髪を軽く流されたあと、私たちはキスをした。

さっきよりも深いキス。慣れていない私は思わず吐息がこぼれる。

「んぅ…、…ふ……っ」

「…はぁ、ッ…ゆずかわい。」

悪戯めいた顔で見られ私は恥ずかくて目をぎゅ~っと瞑ると、桜子さんが私の髪を撫でまたキスをした。


こうして私たちは付き合うことになった。

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