第62話 腕試し

『試しはこの鬼ヶ島でするよ。筋肉を痛めても温泉地でやるからって無茶はダメだからね!』

『了解!』


 ヒョウガ以外は、鉱石を持って試してみるが、綺麗に真っ二つに斬れた者は、ラルゴ以外、居ませんでした。

『ヒョウガ王子、早速、お手本をお願いします。』

『どいつも、だらしねーな。一瞬だ、目をかっぽじって見とけよ!』

『はーい』

力の解放も全くせず、鉱石をナイフで割りました。

『凄い、綺麗に真っ二つだ!』

『割り方どうやったんだ?』

『兄貴、是非ご教授下さい。』

『俺から言えるのは、頑張って真っ二つにしようと、力みすぎな奴が多い。』

『前に言われた通り、無駄のない洗練された動きを目指してきた筈なんだけどなぁ💧』

『まぁ、斬る力はあると思うが、それ以上やれるかは、己の戦闘センス次第だ!』


 皆、アドバイス通りに実践を試みるが、上手く割れた者はハヤト以外、居ませんでした。

『私からもアドバイスを一つだけ、大事なのはリズムですよ。』

『おい、ラルゴ、少し甘やかし過ぎじゃねぇ!?』

『いいえ、硬いものを何度も叩いてるので、手首を痛める確率が高いです。』

『まあ、鍛練でぶっ壊しちゃあ意味ねーしな、お前らは、切り上げて温泉に浸かれ!』

『了解!』


ヒョウガの指示に従って温泉に浸かりました。

『おい、何でノームまで鍛練に加わってるんだ?』

『今頃、気付いたのか、カイル!?』

『ああ、さっき隣でやってたから驚いたぞ!』

『船に来てから、師匠やラルゴさんに触発されて、鍛練をまたするぞって気になったんだ。』

『へぇ、気になるな。師匠って誰の事?』

『それはね、ブクブク』 

カイルによって、お湯に沈められました💦

『絶対に秘密だ!』

『いや、カイルには聞いてないよ💧』

バシバシ 『ごめん、やっぱ言えないや💦』


『ノームは戦いに参戦する気あんのか?』

『鍛練したからね。頼ってくれて良いよ!』

『へえ、おじさんの大活躍、期待してますぜ!』

『てか、棒読みじゃん、幼なじみの君におじさん呼ばわりはされたくないよ💢』

『えっ、カイルも30代のおっさんだったの!?』

『30代は、まだお兄さんだってーの💢』

『いや、俺は18歳だ!未来では、一緒だった5名のうち2名は(ノームと名医)年老いて、1名は(ファウスト)亡くなって、もう一名は行方不明だ。』

『そういやぁ、俺たちを過去に飛ばした張本人は、いまだに見たことないな。』

『そう言えば、言ってなかったね。最後の一人は、既に亡くなっているよ。』

『レオン王子、いつ、レックスにあったんだ?』

『僕が直接あったのは、時渡りの試練の時だよ。実際にあった事があるのはお祖父様で、子供の頃だったと聞いているよ。』

『奴の子孫は居ないのか?』

『残念ながら、居ないよ。彼は、お祖父様が8歳の頃に来て、城の兵士の強化に力を注いで15年後には、亡くなっているよ。』

『そうか、俺と同い年で亡くなっているんだな。』


『ノーム、今の実力がどんなもんか試してやるよ!』

『挑むところだ!!』

カイルは大きくて少し歪な形をしているナイフを2本出現させました。黒いナイフで名はバックルガンです。

 ノームは、小太刀を2本出現させました。青い色の武器で名は妖魔刀です。


 お互いにプロテクトをかけて超接近戦を繰り広げています。キーンと刃が重なる音がなり響いています。

『おい、俺の知っている若い頃のノームより、反応が鈍いぞ!』

『今でも十分若いさ💢』

『ぐふっ』 

カイルの攻撃が諸に入り、膝をつきました。

『もう終わりか、これでは全く頼れないな。敵を一人も倒す事が出来ずにレックスと同い年で死亡確定だぞ。』

『まだだ、もう一回やろう!』

『仕方ねーえな、とことん付き合ってやるよ!』


 ノームは、妖魔刀の形状を変化させながら、毎日、カイルに挑みました。サーベル、大太刀、細剣など、様々な形の剣に形状変化をしていき、最終的に太刀に決定したようです。そのうち、カイルの攻撃を完全に捌き出して、錆びついた刃が研ぎ澄まされたみたいです。勝つまではいかなかったものの、カイルの折り紙付きです。鉱石割りを二人とも完璧にマスターしました。

新たに、ノームが加わり戦闘員は42名となりました。


 特訓は、全ての鉱石が半分に割れるまで続けられました。残念ながら、全員が、完璧に技をマスターしたとは言いがたいです。ですが、ダメージは確実に与えられると思います。時間はかなり掛かったが、これで、ストーン族に対抗する術は身に付けられたと言って良いだろう。

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