第9話 恐怖の刻限
約半年後、惑星ザバンに巨大な海賊船が空から降りて来て、柄の悪そうな輩が武器を装備して甲板に大勢立ち尽くしていた。
一方、見張りの兵は異様な船団が近づいて来るのをすぐさま発見し緊急配備の鐘を打ち鳴らした。
カーン、カーン、ゴーンと街全体に音が鳴り響く。
その音を聴いた住民達は急いで王宮へと走り出した。
副王は、騎士団を至急街外れへ向かわせたが、国民が城の中へ押し掛けて来ているため少々足止めを喰らっていた。
街外れの平原に着陸した海賊船から大勢の者が大地に降り立った。甲板の上から強面の大男が『最初の生け贄だ派手に騒げ、一匹残さず蹂躙しろ』と拳を振り上げながら命令を下した。
男達は武器を掲げ『オヴー』と雄叫びをあげた。
不適な笑みを浮かべながら街へ入って行きました。足の速い者は逃げる民を斬り殺しながら王宮へ向かっています。一方、パワーに自信のある者は木造の家々を破壊しながら蟻の子一匹逃さぬよう進んでいます。
足の早い者は街の半分くらい進んだ所で騎士団と遭遇しました。血の匂いが新鮮である事に気付き敵と判断し数人を斬り殺しました。
騎士団長は『見つけ次第敵を一掃せよ、常に連携を取りながら深追いせず戦うように!』
『イエッサー』息のあった返事を返す隊員達は武器を構えながら前進していった。
ボルフはこの戦いこそが未来人が言っていた我が国が滅ぶ日だと直感で感じ副王の元へ急ぎ戻りました。
『副王、この戦いは未来人が予言していた戦いだ』
『おいおい、95代目国王はまだいないぞ』
『奴等は国王行方不明と知って最初に惑星ザバンを襲ったが、王族の派閥争いもなく統率が取れていたとから次の王が既にいたと思ったんじゃないか!?』
『なるほど、歴史上ではこのレオルドが最後の95代目国王として民と共に死んだと言う事かww』
『ラルゴ、グラード、ボルフ命令だ。ここにいる子供達を連れ王宮裏から研究所へ行き宇宙に飛び立て』
ラルゴとボルフは子供達を集めてついて来るように言い聞かせ幼い子供達を抱き抱えながら走り出した。
グラードはしんがりを勤めると言い、子供が全員走り出すのを待っている。レオンは突っ立って父を観ていた。側にはライガとウィルの2人が待っていた。
『レオンお前の夢の話をちゃんと聞くべきだったなすまない、2人も巻き込むつもりか早く行け』
怒鳴る父の言葉を聴き幼いライガの手を引いて走り出してグラードもそれに続きました。
王宮裏へ出て少し森を駆けていると別ルートから城を包囲するために来た連中を遠くに見つけた。
グラードは小声でもっと速く走れと言うと『俺が相手だぁ』と敵に向かって行った。敵はグラードに多勢に無勢で襲い懸かってきた。
レオンとウイルは間にライガを挟み両方から引いて走っていたが一人が石につまづき転倒してしまった。
その間に追って来たおっさんとゴツイ子供の奇妙な2人組に追い付かれてしまった。
ウイルはライガを起こし立ち上がろうとするが先に立ったレオンがすかさず突き飛ばした。剣を振りかざし立とうとした二人に剣先が向いていたからだ。背中の大剣で軌道を上手くずらしておっさんの方も警戒したが腕を組んで眺めているだけだった。
『ウィル、ライガを連れてさっさと立って走れ』
そう言い終えると次はレオンに向かって剣を振り下ろしてきた。頭の上に剣を構えて受け止めようとしたが、剣にヒビが入っているのに築き、剣先を反らして回避しようとするが剣は砕け右腕を掠めて血が飛び散った。
『凄いな2度も俺の剣を反らすなんて大人でも出来る芸当じゃないよ、また今度遊ぼうね』
後ろを向き王宮へ向かおうとする子供だったが、
『ガキの気まぐれに付き合ってられっか、ボス命令は皆殺しだ残念だが死ね』おっさんが襲いかかるが後ろから剣を振りかざし真っ二つに切り裂いた。
『名前いい忘れていたや、ストーン族のガンツだ覚えといてね』
レオンは着ていた服を割いて右腕に巻き付けウイルに支えられながら走り出した。ライガは虎に変身して4足歩行で一直線に走り出した。
宇宙戦の中に子供達が走り終えるのを見てからラルゴは研究所の前で王子達が来るのを待っていた。
小さな虎が向かって来るのを見つけてラルゴは駆け寄った。『兄ちゃんが怪我した』その言葉を聞いて、駆けて行き無事に2人と合流し王子を抱えて宇宙戦に到着した。
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