第72話 恋の話 十五

 『しかし、難しいな…。』

次の日。まだ2月の寒さが残り、天気もそんなに良くなかったその日。僕はデート対策で買い込んだ雑誌と自分の部屋でにらめっこをしていた。

 『哲学の本ならどんどん頭に入ってくるのに…。』

 どうして同じ活字なのに、こうも吸収の仕方が違うのかと思うくらい、僕はデート関係の雑誌に苦戦していた。もしかすると、哲学書にはないおすすめのデートスポットの写真なんかが僕の理解の邪魔をしているのかもしれない…。と僕はくだらない冗談を頭の中で流し、1人で笑う。

 でもその冗談は何かバカバカしい。僕はそう思い、気を取り直して雑誌を読んだ。

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