第69話 恋の話 十二

 「私、今日は中野さんのお話、いっぱい聞きたいと思っています。」

「僕の話、ですか…?」

「はい。

 中野さんが哲学に興味を持ったきっかけでありますとか、他にも普段していることでありますとか、中野さんのことなら何でも。

 私そういったことを男の方と話すことがあまりなかったので、いい聞き役になれるかは分かりませんが。」

「い、いえ、聞いてくれるだけでありがたいです!」

 そう言って少しハイテンションになった僕は平沢さんに一気に話す。その内容は、哲学との出会いや自分の哲学愛に関することが約8割。残りの2割は最近のテレビ番組とか、面白い教授の癖についてとか、親戚のこととか…とにかく他愛もないことであった。

 そしてそんな僕を見て、また話を聞いて、平沢さんは笑う。

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