第59話 恋の話 二

 ―まずヴィトゲンシュタインというのはオーストリア・ウィーン生まれの哲学者で、19世紀から20世紀にかけて活躍した人です。

また彼は「分析哲学」というジャンルの哲学に大きな影響を与えました。

 この「分析哲学」というのは、ざっくり言うと主に言語に関することを取り扱う哲学です。…まあ専門家から見るとちょっとざっくり過ぎるかもしれませんが…。

 そして彼の業績は、大きく分けて前期と後期に分かれます。前期は彼が生前唯一出版した「論理哲学論考」の業績を中心としたもので、後期は「哲学探究」を中心としたものです。

 その中でも今日は、後期の「哲学探究」の中に出てくる「言語ゲーム」について語りたいと思います。

 この「言語ゲーム」の基本的な概念は、人間は、特に精神的なものに関しては言語に支配されており、言語の枠組みの中で物事を見ることしかできないというものです。

 またこの言語ゲームと僕の専門の心の哲学に関して、ヴィトゲンシュタインと「行動主義」の考え方とのつながりについて言っておきます。この「行動主義」とは、人間の心の動きなどは外部から見た行動でしか判断することができないという考え方です。つまり人間の内部の心的なものをどちらかというと否定し、外部から見てはっきり分かる人の「動き」によってその人の心の中身まで判断しようというような考え方です。

 そしてこの考え方をヴィトゲンシュタインは支持し、自らの言語ゲームの考え方と関連させて、「人間の心は、外的にも分かる言語を通してしか判断することができない。」という風に考えたわけです。―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る