第26話 プロローグ 二十六
…そんなことをふと思いながら僕が散乱した全ての本を拾い集めてトートバッグに押し込むと、
「では私は失礼しますね。」
と言って、彼女はその場を去ろうとする。
「あ、あの…!」
そこで僕は、僕の心はなぜか、
『彼女と離れたくない。』
と思ってしまった。
「すみません、宇宙のどの辺りが好きなんですか?
僕も学問全般が好きなので、気になっちゃって…。」
すると彼女は、
「そうですよね。私の方から中途半端に話をしておいて申し訳ないです。
私、基本的に男性の方をお誘いすることはないのですが、そういうことなら―。
それで、ここでの立ち話も何ですので、よろしければですが私たちの研究室にいらしてもらえませんか?
私は平沢美宇(ひらさわみう)と申します。
場所は理学部棟3階の、宇宙物理学研究室です。
平日なら私はそこにいると思いますので。」
「はい、喜んで!」
そこには、その人の申し出を快諾している僕がいた。
「今日はちょっと自分の研究で忙しくて時間がないですが、また近いうちに遊びに行きたいと思います!
あと、僕は中野心と言います!」
「分かりました。では失礼します。」
そう言って、今度こそ本当に彼女は去っていく。
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