第25話 プロローグ 二十五

 「…心身問題を知っておられるのですか?」

「―はい。私、学問全般には興味があるものですから。ただ、私の専門は宇宙で、心身問題とはかけ離れていますが―。」

 そう言いながらその人は、僕の本を拾うのを手伝ってくれる。

 さっきは拒絶されたが、やはり根は優しい人なのだろう。

 しかし、こうして見ると僕は分厚い専門書ばかり読んでいるなあということに今更ながら気づく。

 普通の学生なら今流行りのライトノベルなんかを読んでいるのだろう。…僕もそういった類の本を読むこともあるが、やっぱり僕には哲学書だ。哲学書の方が自分にとっての「ホーム」のような気がする。

 またそんなライトノベルと哲学書では、価格が全然違う。文庫なら1000円もかからないライトノベルに対して、哲学書は5000円を超えるものもざらにある。

 もちろんそういった本は図書館で借りて読むことが多く、その時僕はちょっとだけ得した気持ちになる。

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