7年前の真実(3)
監視の番人が常に胸に着けている太陽の紋章バッジが暗闇の紋章バッジに変わり。その光景に腹を立てるソラ。
「なんてことをしゃがる、暗闇の王。フィリップを操りやがったな!」
「操る!? 何を言う。私は暗闇の王に寝返っただけだ……。そうだ、いいことを思いついた」
すると、突然どこからともなく、2本の剣が監視の番人の手に。
「ソラ、私の剣の腕前、覚えているか!? 小娘! 私とこの剣で勝負しろ!」
監視の番人は、剣を1本、アリスもとへ投げた。
その時、ソラはアリスをかばうようにアリスの前に立ち。
「バカなことを言うな! こんな子供を相手にしてどうする!?」
「うるさい! お嬢ちゃんがもし私に勝ったら見逃してやる。さぁ、どうする!? お嬢ちゃん!?」
「私は戦わない。私はこんなことをするためにここに来たんじゃない。元の世界に戻るため、鏡の世界の王様と約束のため。そして、ここにいるソラさんのためにも、私は剣を取らない!」
「剣なしで私に勝てるっていうのか!? 面白い。やってみるがいい」
剣を振り上げた監視の番人。ソラがアリス前に立ちふさがり。
「お前の相手は私だ!」
「お前は関係ない、ひっこんでろ!」
監視の番人は、ソラを払いのけ、転がるソラ。
「……なんなんだあの力は……?」
アリスはソラの元へかけより。
「ソラさん、大丈夫!?」
「大丈夫。少し擦りむいただけだ」
アリスは、監視の番人を睨み。
「これ以上、ソラさんを傷つけたら、私、あなたを絶対に許さない!」
「許さないだと!? だったら、正義の紋章の力をみせてみろ! 私を倒さない限り、ここからは出られないと思え!」
(お姉ちゃん、私に力を貸して、ソラさんを助けたいの。 お願い、 お姉ちゃん!)
すると、テーブルに置いていた、アリスのパスポートがアリスの元に戻り、パスポートは光を放ち、監視の番人は目がくらみ退き。
「なんだこの光は!?」
パスポートの光の輪は、透明な球体になり、アリスとソラを包み込み。
「ソラさん、もう大丈夫。この球体の中に入れば、大丈夫だから」
「アリス、これは?」
「多分、正義の紋章の守りの力だと思うの、わかんないけど」
「これが、正義の紋章の力……」
アリスは監視の番人を見て。
「これであなたが攻撃しても、この球体が守ってくれる!」
「何!? そんなもの砕いてやる。私にはこのバッジがある」
監視の番人は剣を使い、球体を壊し始めた。何度も何度も剣を叩きつける監視の番人。
すると、ソラが何かに気づき。
「アリス! 球体が小さくなってきている、このままでは破れてしまう」
アリスは微動だにしない。不敵な笑みを浮かべる監視の番人。
「思い知ったか!? 暗闇の力を……小娘、お前は怖くないのか?」
「怖いわよ! でもね、私、暗闇なんかには絶対に負けない! 私は、絶対に約束は守る! 私は負けない!」
「ほざきやがって、こんな光ぶっ壊してやる!」
「私は絶対に負けない。暗闇なんかに負けるもんですか!」
その時、パスポートが光を放ち、監視の番人は吹き飛ばされ。ソラは、アリスの目の前で宙に浮くアリスのパスポートを見た。
「アリス、パスポートを見てみろ! 黄金の紋章が1つ増えている。あれは、信じる心持つ、強い意思の紋章」
吹き飛ばされた監視の番人は、胸のバッジを握りしめ、ゆっくりと立ちあがり。
「何が強い意志だ!?」
その時、ソラが何かに気づき。
「そうか、あのバッジがフィリップを操っているのか。アリス、あのバッジを壊せないか!?」
「わかった、やってみる……。お姉ちゃん、力を貸して。あの人のバッジを壊して!」
すると、アリスのパスポートが、監視の番人の胸に着けている暗闇の紋章バッジをめがけて光を放ち、暗闇の紋章バッジは一瞬にして砕け散った。
アリスは喜び。監視の番人は、その場に倒れ。透明の球体は消え、ソラは監視の番人に駆け寄り。
「フィリップ! しっかりしろ! 起きろ、フィリップ!」
「……痛っ……! ここは? ソラ!? ソラ、なんでここにいる!?」
「やはり、バッジに操られていたのか!?」
「バッジ!? 操られていた!? なんのことだ!?」
ソラはフィリップに、ここに来た経緯とさっき出来事を話した。
「どおりであっちこっち痛いわけだ……。しかし、操られたといえ申し訳ないことをした……。ソラ、すまなかった。辛い思いさせた……。実は、7年前のことは鏡の番人に口止めされて、と言っても私も賛同したからな。すまなかったソラ」
「悪いのは私だ……。7年も経って同じミスをするとは……これで昇格試験はもう受けられないな」
「受けられない!? 何を言っている。今、試験中なんだろう? 違うのか?」
「だから、私は、同じミスを」
「ミス!? なんのことだ!? 私には、記憶がないが」
「フィリップ、それでは」
「ソラ、アリスをたんだぞ! これはお前にしかできない仕事だ。王様がなんでお前を選んだと思う!? アリスを無事に届けるんだぞ! しかし、そのおっちょこちょいというか、そそっかしいというか、治らないのか!?」
「すまない……。アリスにも謝らないといけない、こんなことに巻き込んでしまって、本当に申し訳なかった」
「謝らないでください。巻き込んでしまったのは、私の方です。ごめんなさい!」
「アリスって、本当に8歳なのか!? こんな子供は見たことがない……。この年になって、信じる思いと意志の強さ、正義の心、こんな子供に教えられるとは、なんって子供だ」
ソラとフィリップは、この監視の中をどうやってフィリップに暗闇の紋章バッジを着けたのか。2人は同じことを考えていた、暗闇の王の力が増したんだと。
アリスはこの時、鏡の番人が、「すまない」と、言ったことを思い出し。ソラがどうしてフィリップを操っていることがわかったのか疑問になり聞くと。
最初に言った言葉は、匂いだと言い。幼少時期からの付き合い、雰囲気、言葉遣い、態度。ましてや、フィリップが信頼する太陽の王様を裏切るはずがない。ただ、太陽の王様は暗闇の王のこととなると。ソラはそんなことを話し。アリスは姉のアリサのことを思いだしていた。
ソラは管理所にある時計を見ると、午後5時を過ぎている。一刻も早く暗闇の城に向かいたい2人。普通なら夜間移動の方が相手に気づかれずに移動できるが、相手は暗闇の住人、暗闇の目を持っている。それに、太陽が昇っている時間帯の方が暗闇の力が弱まる。アリスとソラは、予定通りここに泊まることにした。
この管理所の地下には、監視の番人用の簡易宿泊所があり。現在フィリップは、出入国禁止のため誰もいない監視所に1人、週一交代制でここを監視している。
フィリップは、アリスとソラを簡易宿泊所の中にある食堂に案内し。長いテーブルの上にアリスとソラはリュックを下ろし、椅子に座り、ここで一息する2人。
しばらくするとフィリップは、2人のために食事を用意し。静かな夕食をすませた3人。
ソラは何か気になることがあり、対面しているアリスに声をかけた。
「アリス。さっきから気になってたんだが、なんでソラさんなんだ?」
「えっ!? もしかして、ソラちゃんの方がよかったの?」
「いや、そういう訳ではないが」
「なになに、そうなの?」
「大人をからかうな」
「ごめなさい」
「なんなんだ、お前は!?」
「あっ、8歳の私にお前って言った。私は、ア、リ、ス、忘れたの?」
この光景をソラの隣で見ていたフィリップは。
「ソラ、本当にあの娘があの紋章の持ち主なのか?」
「私にもわからん」
アリスとソラは、紅茶を飲んでいると。フィリップは1人、資料室に行って来ると言い食堂を出て10分くらいで戻り。手に何か紙を丸めたような物を持ち、それをテーブルに広げた。そこには古い地図が。
そう2人がここに来たもう一つの目的は、35年前の地図を手に入れるため。
当時、暗闇の王国の境界線上に鏡の壁を作り、暗闇の王を閉じ込め。その時、暗闇の王国の地図を作成していた。その後、暗闇の王国に足を踏み入れた者はいない。よって最新の地図は手に入らない。
この古い地図に目を通すと。鏡の壁を作った時にできた道が書かれている。何かあった時用の道らしい。この道は、暗闇の王と暗闇の住人たちには見えない道、この道を知ることはない。
鏡の力、魔法のようなものを使い、鏡の壁を作り、壁の高さは10メートル。更にその上に見えない壁が30メートル立ち。暗闇の王と暗闇の住人たちは、この壁の10メートル以内には近づくことはできない。
アリスとソラは、それぞれ宿泊部屋に行き。明日は、午前8時に起床し、食事をすませてから行くことに。
アリスは部屋に入ると、急に疲れかが出てきて、眠くなり、ベッドに倒れ込むように眠った。
翌朝、午前8時10分、アリスはまだ寝ている。
すると、アリスの部屋のドアをノックする音とが聞こえ。アリスは、目をこすりながらベッドから起き、ドアの向こうから聞こえる声。アリスはドアを開けると、目の前にはソラがいる。
「遅い! 8時過ぎてるぞ!」
「おはようございます」
「おはよう。じゃなくて、早く仕度をしなさい。食堂でまっているからな!」
アリスは急ぎ仕度し、食堂に行くと。ソラとフィリップは、食事をせずに待っていた。
3人は、朝食をすませ。ソラはリュックに食料を補充した。ここから暗闇の城まで歩いて4日かかる。
「フィリップ、いろいろありがとう」
「ソラ、頼んだぞ!」
「わかってる、まかしとけ!」
「フィリップさん、ありがとうございました。行って来ます」
「2人とも気をつけて」
アリスはフィリップに手を振り、アリスとソラは、暗闇の王国のドアへ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます