7年前の真実(2)
2人は監視所の出入り口に立ち、ドアが開き、通路を進むと。奥行が350メートルくらいある円形の真っ白い壁のホールが広がり。時計回りに、鏡の王国の紋章、暗闇の王国の紋章、水の王国の紋章、太陽の王国の紋章、緑の王国の紋章、山の王国の紋章、6つ紋章のドアがある。
寄り道をすることなったアリス。アリスたち目線の先には、最終目的地の太陽の王国の紋章ドアがあり。左側を見れば、暗闇の王国の紋章のドアが見える。
このホールにはアリスとソラの2人だけしかいない。あまりにも静かすぎる。それもそのはず、暗闇の家来が鏡の王国に現れ、各王国に出入国禁止と外出自粛要請が出された。
ソラは、ホール中央にある円柱の形をした出入国管理所に向かい。アリスはソラの後ろをついて行き、ドアが開き 奥行が25メートルくらいあり、辺りには人影なく静か。
この出入国管理所は、太陽の王国、鏡の王国に入国する者チェックし入国許可を得る場所。そして、6つドアを監視している。
2人は、暗闇の王国に行くために入国手続きカウンターへ行くと。カウンターの奥の部屋から男の人が現れ、アリスの元へ行き。
「お嬢ちゃん、どこの王国に行きたいのかね?」
「すみません、この手紙を鏡の王様より預かってきました」
「手紙!? その前に、そこにいるのは鏡職人のソラではないか、久しぶりだな」
「……」
「3年ぶりに会ったというのに挨拶はなしか……? まぁいい、ソラが一緒にいるということは、何かあったのかね、お嬢ちゃん?」
「手紙を読んでいただければわかります」
手紙を受け取った監視の番人は、手紙を読み、読み終えると。
「この件は了解した。しかし、念のためにお嬢ちゃんのパスポートを見せてくれなか、ここの決まりだからな」
アリスは、パスポートを監視の番人に渡すと。
「これは、正義の紋章……。なぜこんな子供が……それに鏡の王国の生まれ……ソラ、貴様の仕業か!? このパスポートを偽装したのは!?」
「偽装!? なんのことだ!?」
「ソラ、7年前のことを覚えていないのか?」
「7年前!?」
「お前、あの鏡の番人がお前の身代わりに牢に入ったことを忘れたのか!?」
「はぁ!? ちょっと待って、何を言っている? どういうことだ!?」
困惑するソラ、言っている意味がわからない。その光景に驚く、監視の番人。
「お前、本当に知らないのか!?」
「……私は何も知らない」
ソラは呆然と立ち尽くし。
7年前のパスポート偽造事件。
ソラは、超真面目で頭も良い、鏡職人としての技量はずば抜けている。しかし、臨機応変に対応する能力が低く、おっちょこちょいでそそっかしいところがある。そんなソラに鏡の番人はあえてあの状況を昇格試験とし。あの少女を無事に元の世界に戻すことができれば合格にする予定だった。
確かに、異世界から来たものは、この世の果ての世界で審議される。ソラは、なんの罪もない7歳の少女をこの世の果ての世界に引き渡す訳にはいかないと思い。この世界の人間としてパスポートを作り、パスポートに不備が見つかった。
パスポートを作る際は、本人の手の平の上で作成する。もしくは本人を示す物を用意する。例えば毛髪1本でもよい。ところが、ソラはそれを怠り、自分の手の平の上でパスポートを作ってしまった。
ソラは不合格になり、パスポートを偽造した罪により処分を受け。その処分は、15年間昇格試験は受けられない厳しい処分となった。しかし、あまりにも厳しい処分だと鏡の番人はこの世の果て王に訴えたが、曲がったことが大嫌いなこの世の果て王は取り合ってくれない。そこで、鏡の番人は、この世の果て世界に居座り。何度も、何度も、訴えた。ソラは、優秀な人材だと。
訴えから1週間後、この世の果て王は、ソラの処分を軽減する条件として、鏡の番人に、1年間牢に入れば、7年間昇格試験は受けられない処分に変更してもよいと言い。鏡の番人はこの条件を吞んだ。
ソラの親友の太陽の番人は、3年前にここの監視の番人になり、ソラの昇格を楽しみにしていた。その矢先、またしてもパスポートに不備が見つかった。
しかし、今回は間違いなく、アリスの手のひらにパスポーを置き。生まれの紋章を入れた。
通常ならこれで問題はない。但し、この場合の対処方法は、新しいパスポートを作り直す。こが正解であって、鏡の番人の作ったパスポートにあえて生まれの紋章をいれる必要はなかった。
このことを知ったソラは愕然とし、涙を流し自分の不甲斐なさを感じ責めた。
「ソラ、お前は何をやっている!? なんだこのざまは? 同じ過ちを繰り替えしやがって!」
「……本当にすまなかった。この責任は私が負う!」
「当然だ。しかし! 2人ともこの世の果てに行ってもらう」
「アリスは関係ないだろう!」
「お前が言える立場か!?」
アリスは2人を止めに入り。
「もうやめてください! 私がこの世の果てに行けばすむことでしょう? 原因を作ったのは、私しなんだから」
「お嬢ちゃん、いい度胸をしている。流石、正義の紋章の持ち主……。しかし、ダメだな」
「なんでダメなんの? ソラさんは大事な友達なの、あなたもそうでしょう!?」
「友達!? ふざけんな!」
「これ以上、ソラさんを傷つけたら、私、許さない!」
「許さない!? 面白い。このバッジを見ても、そう言えるかな!?」
「バッジ!?」
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