君も私もやべえ奴

都稀乃 泪

第1話 君がCO“やべえ奴”

 サークルの新入生歓迎会。一番に立候補した彼は誰もが見惚れるほど美しかった。

 マイク代わりに先輩から渡されたサイダーの缶を持つ指は、男とは思えないほど白くスラリと長かった。

 陶器のように白い肌、桜のような薄ピンクの唇、影を落とすほどに長いまつ毛。皆、彼の動作に見惚れていた。


 しかし、自己紹介も終わろうかというその時、彼の口から発された言葉は予想外のものだった。


「あ、あと僕、完ビなんで」


 その瞬間、私は悟った。

(あ、これ鑑賞用か。)


 彼だと思っていたのは、彼女だったという訳だ。中性的な長さの髪もユニセックスな服装も、そう言う訳だったのか。


 それだけ言うと、彼・・・いや彼女は部屋から出ていった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君も私もやべえ奴 都稀乃 泪 @ask-rain_of_sadness-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ