プレゼントにはお返しを

帰宅してすぐに、私は青いイヤリングを外してまじまじと眺めた。

(やっぱりなんかお返しした方がいいよね…)

と言っても今まで異性にプレゼントなんてした事も無いから何を渡せばいいのか分からない。

(航大、しょっちゅう女の子に同じ様なことしてるのかな…)

私のアンテナが低いだけなのかどうかは知らないが少なくともクラス内で航大の浮いた話は聞いた事がなかった。

けれど、彼は私と違って明るくて気さくだから女子からそんなお誘いが来ていてもおかしくは無い。

そう思うと何だかいるかも分からないその女の子に嫉妬してしまう。

(私にだけだったらいいのにな…)

手に持った青い耳飾りは自分にはやっぱり似合わないんじゃないかと思う程に煌びやかだった。

けれども、航大が私に良く似合うと言ってくれた。その言葉だけでそんな引け目すら感じずに付けれるような気がした。

(大阪にはこれを付けていこう。)

そう決めて私はイヤリングを小物入れの中にそっと入れた。


(そうだ!航大へのお返し考えなきゃ!)

夜、自室で小物入れを見て思い出した。すぐにスマホの検索エンジンを開く。

男子高校生 プレゼント

男友達へのプレゼント十選とか、男子高校生が欲しいものランキングだとかのページがいくつもヒットした。

とりあえず一番上、高校生男子に喜ばれるプレゼント二十選というページを開く。

一番初めに出てきたのは財布。

(財布とか高いもの貰ってもきっと困るだけだよね。)

次に出てきたのはパーカー。

(うーん、良いとは思うけどあんまり着ないだろうなぁ、学校、制服だし。)

そんなこんなで試行錯誤して、目に止まったのはスマホケースだった。

(これにしようかな、航大も無難に使いやすいだろうし。)

決まると安心感が湧いてきてふわぁと欠伸をした。時計を見るともう十二時。そのままベッドに寝転んでその日は寝た。


翌日、善は急げという事で私は早々に昼ご飯を食べ、プレゼントを買いに行くために隣町へと一人で向かった。

灯か穂花を誘って行っても良かったのだけど昨日の出来事を話した時にやんややんやとからかわれる光景が目に浮かんだので止めた。

それでも二人とも何だかんだで協力はしてくれるとは思う。でもあの二人の意見に頼っちゃいけないという使命感が強くあった。


そうして私は昨日通った道から少し外れた雑貨店に入った。店内の一角に設けられたスマホケースコーナーを前に航大に似合いそうなものを探す。

確か今彼が使っていたのは黒色の物だった気がするからそれ以外の色にしたい。

(となると紺色とか白かな…)

紺色だと落ち着いた感じがして彼にも似合っていると思う。けれど白のなんにでも似合うという万能感も捨てがたかった。


結局の所白色に狼が描かれているシンプルな物にした。

(これで喜んでくれるかな…)

多分、いや絶対航大なら喜んでくれるのだけれど不安感に襲われた。

(いや、もう買ったんだしそんな心配しても無駄だよね。)

もう明後日には決着がついてしまっている。

どうなったって後悔はしたくない。

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