第32話 空を魚が泳ぐなら
魚は水中を泳ぐ。
それは自明の理だ。
さて、そこである人が空を泳ぐ魚について考えてみた。
なんてことはない、彼は絶海の孤島に生まれ魚が空を飛べばどうなるか、という妄想を考えたのだ。
彼は魚が空を飛ぶならばまずひれが大きくなるだろうと考えた。そこでひれを大きく粘土板に描いてみた。そして、魚の虚弱な骨では空を飛ぶことはできないだろうと考えた。
さらに、泳ぐ魚を見た彼は魚は先端がとがっていればとがっているほど合理的だと考えて、魚の口を伸ばすこととした。
そのうえで、彼は妄想を重ねてそのさなかに陸に降りるための脚と、虫を食べるための首を作ったみた。
彼がそんな妄想をしてから数千年後、あるニュースが流れた。
「何と絶海の孤島に鳥がいたことが明らかになりました。粘土板に、鳥が描かれていたのです!」
魚を合理的に空へ飛ばそうと思ったら、鳥のようになるのだ。
了
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