第20話 我々の始まり

「君はどこから来たんだい?」

「私は光が消える方から」

「へぇ、僕は光が出てくる方から来たんだ」

「そうなんだ、私はいつもこれをしてるの」

「これは何だい?」

「これをね、水の中に放り込んだら増えるんだ」

「すごい! これは食べれるの?」

「うん、食べれるよ。君は何をやってるの?」

「僕はね、あの動く連中をとっ捕まえて食べるんだ」

「どうやってやるの?」

「穴を掘って、こいつでぐさりと」

「すごい、これは見たことないや」

「僕たちはこれをいろんなところから集めるんだ」

「へぇ」

「それにしても君たちのその増えるのもすごいね」

「ふふふ、すごいでしょう」

「もしよかったら互いに取り換えをしない?」

「そうね、そうしようか」

「でも、みんなが賛成するかなぁ?」

「なら私たちが子供を作らない?」

「そいつはいいね、家族なら取り換えできるね」

「でしょう?」

「それじゃあさっそくだね」

「うん」

 こうして、二つの集団が互に交流した。

 長い年月をかけて、とある場所でこういった交流が延々と行われた。






 とある場所の名前は日本列島。

 二つの集団とは、縄文人と弥生人。

 我々はこうやって、違う者同士の融合によって日本人となったのである。



          了

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