第7話 小さな幸せ
ふっとお釣りを受け取った時、ピカピカの十円玉を見つけた。
それを見ると、令和元年に作られた十円玉だった。
何という幸福だろうか。たかが十円というが、何となしに受け取ったこの十円は、五百円分くらいの幸福度はあった。
やはり、日本の硬貨に映えるのは漢字の元号だ。
どことなく厳めしく見え、金の貴重さを表しているようだと思った。
令和元年。
輝く十円玉に印字されたその文字は、初日の出のように私に鮮烈な喜びを与えてくれる。
小さな幸せ、というのは十円でも味わえるものだ。
否、待てよ。
もしこれが令和元年のピカピカの五百円玉なら、いったいどれほどの幸せが来るのだろうか。
令和元年の十円玉が五百円くらいの喜びならば、令和元年の五百円玉なら二千五百円分の喜びなのだろうか。それとも、五百円玉パワーで相乗効果を起こすのだろうか。或いは案外大したことないのだろうか。
よし、次からはできる限りお釣りは五百円玉が出る様にしよう。
いったいいくらの喜びなのを知るために、そう誓ったのである。
了
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