第2話 ネタの海に沈んで死ね





あらすじッ☆


平凡なYouTuberだったミサギはある日、神様(笑)の手違い(悪意)で落とした桃が直撃しクッソ長い神生(じんせい)?を終える。

罪悪感に駆られた(マッチポンプ)神様(笑)はお詫びとして、ミサギに異世界で第二の人生を歩ませる(管理ミスで荒廃した世界を押し付ける)ことを約束した。その際神様(笑)から異世界で不自由しないだけの能力(拒否したが押し付けられた)と、渋々申し出た異世界でも使えるか知らんけどスマートフォンを手に入れる。

ミサギは、無事異世界に侵入することが出来たが果たして明日はくるのかーー?



◇◆回想1 運営による卑劣な脅迫


"少しばかり前"



「おい、ちゃんと死ねよ」




上級の神にいきなりよばれ、言われた言葉がこれだった。

死ねって、さ。何さ、酷かねえかな?


30年に一回程度定例で行われる会議の決議案が可決され、異世界の神による日本国民の拉致、殺害を対処する法案が制定された。……と、聞いた。その時、自分は、紳士mmd を作っていたから知らない。

その後、緊急で自分みたいに参加してなかった暇神どもが招集されて、異世界の実態調査のために人間のフリして死んでこいとか言われたけど、YouTuber始めて早幾年、裏垢の紳士mmd チャンネルと表のゲーム実況のチャンネルの登録者数合わせて300万人突破していたものだから、絶対に死にたくなかった。


いやあ、たしかにね。

露骨に落ちてきた不審物を首をコキって鳴らすだけで紙一重で避けたり、まったく見ずに弾丸掴んだりはしたよ?

突っ込んできたトラックの下をすり抜けたり、通り魔に不意打ちで刺されたけど皮膚を硬くしてナイフを逆に折ったりもした。


だけど、それはないでしょう?


いいじゃん、下級だからってお前ら上級の神に従える義理はない。

そもそもなんだよ、お前ら。同期(タメ)だったろ?


何が上級神だよ。

"我を誰だと思っている、我が名はカグツチ……イザナミ様の名代である火の神であるぞ"


は?草。

虎の威を借る狐どころかゴキブリの間違いだろ?


お前、いつも吹けば消えるくらいの火の玉で、神(笑)とか言われてたっていうのに、まーあ、大きくなったものよ。


そんなわけで、ひね伏せるわけがない。

イチゴ味のハイチューをクチャクチャ噛みながら他のYouTuberが配信しているクソアニメレビューを見ながら緊急招集会には参加してきたがな。

話を聞いて、ない!!!!!




聞かなかったとこをやれと言われても困るなー。

お前は目に余るとか意味わからないことを言われて、神としての力を極限まで抑えられてからは、とにかく狙われること狙われること。神の力をセーフしてからは、異世界の神どもがあの手この手で殺そうとしてくるのやんの。


で、あの緊急招集に参加してた奴らが全員、異世界に逝ったってのを聞いたのが最近。



呼ばれてデデデデーン。

何でお前、死んでないわけ?

最上級の神まで召喚してさっさと死ね、異世界行って来いと、圧力をかけてきたわけよ。




「だが、断る!!!!!!



このミサギが最も好きな事のひとつは自分が偉いと思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ…。」




と、言ったのに何故素直に死んだかといえば、最上級神の息がかかった神の一柱にYouTubeの運営陣がいて、私が白といえば白になる。君のチャンネルなぞ吹けば飛ぶようなものよ……さあどうする。



と卑劣な脅迫を受けたからだった。

正直言うと屈した。

YouTuberやってなければフリーダムなフリーターないしニートになってしまう。

チャンネル凍結されたらやり直し、やり直すためにスクランブル交差点でお布団敷いてスヤァとか、街中で尻に松明さしてブレイクダンスは嫌や!


な、わけで死を悟った自分は、チャンネルの撮影メンバーの武藤風吹くんと一緒に街に繰り出した。


何があってもカメラを回し続けていてほしい、もし何かあって自分が動画投稿できなかったら代わりにYouTubeかニコニコにでも投稿してほしい。そう頼むと、「どうしたんすかww、フラグ立てるみたいなこと言ってwww」とか言ってた。

いや、ちゃんと聞いてよ。真面目なの、こっちは。






◇◆ 回想2 よくある不自然な死




俺はミサギ。

ミサギ@ゲーム実況というチャンネルを開設し、裏では規約ギリギリアウトな、紳士mmd というジャンルのダンス動画を配信しているYouTubeだ。


紳士mmd とは、先っちょしか隠していない刺激的な衣装を着た3Dのキャラクターたちが踊る動画であり、あくまでダンス動画だ。

もう一度言おう。ダンス動画だ。

わかったね?エとか言うんじゃないよ?


裏表合わせて登録者300万人を超えノリに乗った新進気鋭のYouTuberだった。

だった……というのも、つい昨日、YouTubeの運営に呼び出され、とある指令をこなさなければ君のチャンネルを凍結すると卑劣な脅迫を受けたからだ。

極秘機密のため指令の内容は言えないが、敵の攻撃にあたり死んだふりをして敵の陣地に侵入して来いという無茶なものだった。


300万人の登録者も運営を前にしては吹けば飛ぶようなものだ。

なんとかの集という言葉があったが忘れた。


今日、俺は死ぬ。

上は俺に未来を見せてきた。




桃が空から降ってきて頭にぶつかって死ぬ。




これこそ、YouTuberにふさわしい死に方ではなかろうか。

こんな死に方をするなら、動画にするしかない。

俺はミサギ@ゲーム実況チャンネルの撮影メンバー武藤くんを呼び出し、外ロケをすると伝えカメラを回してもらった。


「急に外ロケとかどうしたんすか?」


二人でぶらぶら街を歩いていたところ、武藤くんが話しかけてきた。


「あー、今日はね。……なんか、ほら?」


「wwwいや、意味わかんないっすわ」


俺は、立ち止まって空を仰いだ。


「…………」


「何してんすか?今日のミサギさんおかしいっすよ?病院直行しますか?病院ロケ的な」


「いや、大丈夫だ。乱数調整的なことをしてただけだ」


「いや、それを人は大丈夫じゃないっていうんすけど」


大丈夫だ問題ない!



「俺、このロケ終わったら、結婚するんだ……」


「えッ!だれ、誰とすか!?」


「フッ……俺が出来るわけないだろ?だが、もしその時が来たら盛大にお祝いしてくれ」


なんだー、びっくりした。

と呟きながら武藤くんは熱心に撮影をしている。

池袋でロケ。


なんか叫びながらナイフを振り下ろして来た奴がいたが、腹を蹴っ飛ばしたら路地裏に消えてった。


「最近、ミサギさん事件性高くないすか?呪われてんすか?」


「そうかも」


「神社行ってお祓いしましょうよ」


「そうだな」


池袋駅から丸の内線にのり、電車に揺られて御茶ノ水まできた。

そっからフラフラあるいて神田明神まで来たわけだが。




「帰れ」



神田明神の門の前に立っていた神主に行きり呼び止められ追い出された。

神社に参拝することすら許されないては。


「お祓いじゃなくて、俺がお祓いされたんだが……」

「www」


「いや、何笑ってんだよ」


「いや、ありえないっしょ!何したんすか出禁とか」


「何もしてない。あえて言うなら、何もしなかったからだな。心当たりしかない」


「サボり的な?」


「そんな感じ」


「神社でサボりって神職ついてたってことすか?いや、それはないか」


「いや、神職ではないけど宗教関連のことをYouTuberする前はやってたんだけど、まあ、そんなことはいいじゃん」



「は?!いや、これは大ニュースっすよ。ニコニコ百科事典に情報更新しますわ」


「お前か、あれ書いたの(笑」

俺の住所書かれてたのみて誰だよ!って思ってたけどお前か!!!!!!



と、その時。俺は来てしまったと感じた。

死期が近い。


「武藤くん……むーとうくーん?ね、ねね?聞いてる?」

「聞いてます聞いてます」

「聞けよ」


「えっ、なんか今言いました?」

「やっぱ聞いてねえじゃねえか……いや、大切な話があるんだ」


「まさか……」


武藤くん、さすが、付き合いが長いだけあってわかるか!


「まさか、僕に告白する気っすか?」


「は?」



「いや、おかしいと思ってたんすよね。この流れに加えて今日、おかしいと思ってたんすよ」


「はあ」


「で、名探偵武藤と出番すよ、わかりました。真相を!

ミサギさん、あなたは間接的で遠回しに僕に告白しましたね!?」



「せ……ぁっ……!?!」

せやかて武藤……


そう言おうとした時、頭に強い衝撃。



「え……」


気づいていたけど、頭に桃がぶち当たった。

そして血を流して地面に倒れていた。


「ミ……み、み、みさぎ。みさぎさぁん……みさぎさん!しっかりして、ください」


「しっかり……するのは、武藤。おま……えだろ?」


「みさ」


「ぐっ……は……カメラをッ……止めるな」




「は、はいッ。い、今救急車呼びますから!!!意識をはっきりしてくださいね!!!!!」


「ふふ……」


「みさぎさん……ぼく…………み、みさぎさんのことが」


「言うん、じゃない……」


「でも……!」


血の海の中でうっすらと空いた瞳には、泣き顔の武藤くんと桃が写っていた。

やっぱり桃にあたって死ぬんだ……。


「武藤……きいてくれ、俺の、チャンネルを継げ…………。ハハッ、俺が戻るまでの間、チャンネルを、維持してくれ……ふふ、まあ、もっと増やし、て……おいてもいい、な」


「ミサギさん!じょ、冗談よしてください」





最後の力を振り絞って、姿勢を変えて道に一歩の線を書いた。



「だから、止まるんじゃねえぞ…………!」



何か叫ぶ声が聞こえたが、もう意識は遠のいていた。





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