第3話 主人公にわかりやすいように世界観をそれとなく説明してくれる人



目が覚めた。

ぼんやりと目を開ければなんとなくは想像していたけれどどんよりと曇った空に時より光線が走っていた。

流星みたいできれーだな。

なんて言ってられるのは性格破綻者と違う世界からきたやつくらいだろう。

自分とか。


思ったより状況は酷いらしい。

人間だったら、目も開けられないほどの砂塵と口を塞がなければいけないほどの悪臭が立ち込めていた。

腐敗臭なのか機械油の匂いなのか焼け焦げた匂いなのかはわからないただ不快な匂いが立ち込め、この世界が酷く住みづらいということは一瞬で理解した。


辺りをきょろきょろしても、煙でほぼ何も見えない。

一つ言えることは、何故か炎上して落下中の宇宙船の甲板らしき場所にいると言うことだ。


便利な道具くれるくらいなら、町スタートにしてくんねぇかな?


あの自称神(笑)から着信があって、『このスマホは異世界仕様に変更したのじゃ、マップとか使えるンゴw……拙者に感謝するでござる』


とか着信来ねえかなあ。そしたら電話越しに罵倒暴言吐き散らしてやるってのに。


スマホの電源をつけるとサムスソと表示された。

サムスン?何それ……wサムスソだよ?

俺のスマホじゃねえじゃん。

おいちゃん、バリバリの京セラユーザーでっせ(笑

産地なんとかっていう人間の言ってる概念があるでしょ。

地元のものを地元で消費する的な。

あれ、神界隈でも流行ってて極力日本に住んでるんだし日本製を買おう。的な感じになってる。

まあ、どーでもいいんだんなこと。



この世界ってどんな世界なんだろ?

自分は世界を創造したことがないからわからんけど、文化とか文明とか作るのが面倒だからって、異世界でも地球文明テンプレートを採用しているらしいですぞ!(まるで将棋だな)


中世地球世界テンプレートがストア年間一位で二番目が現代地球テンプレートらしいですな。世界創造とかしてる神のところ遊びに行った時、ストアを見せてくれて、


『めんどくさがらずに自分で作ればいいのにね?オリジナリティがない世界とか他の神にパクリやんけwwwとか言われるってわかりきった話じゃん?』

と言ってた。


いや……ラノベかよ。はいテンプレテンプレ。まあ、何……。いくらオリジナルとか言っても、神話なり物語に大概出尽くしちゃってるから仕方ないよね!異世界とか指輪物語の設定使ってんじゃねーよ!!神も人もおんなじだな。仁和寺言って煩悩を鎮めてこいよ。


神を崇めてる人間が煩悩を捨ててるのに神は欲に濡れたクソばっっかり!!

なんなんアイツら。


俺は、まあ?信仰持ってないけど、宗教活動している神さんら、どうもクソばっかり。



やつら、びっくりするほど出まかせ言って自分で災害起こして、それを助けて信仰稼ぐとかマッチポンプも甚だしい。

異世界の神に限らず、何処の神もクソばっかだな。


他の神、今回は異世界の神だが、奴さんらを棚に上げて奴らがいかに酷いかといていたが、全くお前らもお前らだよ。


元の世界の神(どうぞく)どもに悪態吐いている間に凄まじい轟音を響かせて船は落下した。

地面を削りながら滑るように森と既に瓦礫と化していた建物をかき分けるようにこの宇宙船っぽいものは着陸した。


こういうシーン見たことあるーぅ!

なんかアメリカの映画で、落下しかけてたけど地面に船体を擦り付けて不時着する的なやつやん。


「ふぃぃぃいぃぃ!!!!!素晴らしいぃ!」


無論、俺の声じゃないぞ。


先程の奇声をあげて白衣にガスマスクのような物体を頭から胴体に至るまで装着した人型の生命体が船体下部から這い出してきた。


はい、変なやつ来た!!!!


いや、この着陸の何処に素晴らしさがあるんだろう、マジで。

みんな変わってるね?まともなやつに俺あったことないよ?



みんな違って

みんなダメ。

きちを



成り行きを見守るため、もうもうと煙と炎の上がる船体上部の甲板にヤンキー座りしながら下を見る。

懐から取り出した風船ガムコーラ味を口に2、3個放り込みクチャクチャと噛む。


「博士!危険です。敵が潜んでいる可能性があります、警護隊から離れないでください」


「いや、しかしねチミィ。この炎上した船体にいては我々が燻製みたいになるのも時間の問題だとは思わないかい?」


「しかしながら博士、我がSBT」


「結構結構、貴方方の理論や企業努力は乗客のポンだらどもにでも聞かせてやってくれ」


「博士」


「君の言おうとしていることに対して私は全てノーと答える、さあ帰った帰った。森でも会社にでもお帰り?」



スッゲー、この博士。すっげー。何?この人、ステータス挑発とか煽りとかに極振りしてるん?


必死に"博士"とやらを説得していた人物は見た感じ人間だった。


金髪にピンク色の瞳。ガスマスク的なものは特にしておらず、足にはメカニックなブーツをはいている。おおー、SFやってんねー!


ん?じゃあなんで博士はガスマスク的なものをしてるんだ?

マスクをしていない人もいるってのに。

そう思っていると歩いていた博士がくるりと振り返り、マスクを外した。



「君たちのような"イシュ"どもと同じ空気を吸っては体が腐りそうだったよ。ああ、ようやくこのマスクも外せる……ああ!そうだ、もう私の近くに"イシュ"を寄越さないでくれ。手が滑って殺してしまうからな……はっはっは」


何わろうてんねん。サイコパスかアンタは。

なんなんだ、この悪役っぷり。なんなんだ、この説明してくれる人。なんか物語の導入っぽいな。





もしかして、あの神(笑)の力が働いてるのか?









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る