異世界の神はふざけてやがる!!!!!

ぺよーて

第1話 日本人をあの手この手で殺して来る異世界の神


「というわけで死んでしまったのじゃ」

「はぁ(怒)」


腹が煮えくりかえりそうになりながら目の前のぼけ老人、あ、違った自称神(笑)の話を聞く。ここは天界。……というらしい。どこやねん。

天界の、何処だよ、てめえ人間舐めとんのか?

ここは何処ですか?って聞いたのに"天界"は、ないだろう。

おま、ここ何処ですか?って聞かれて"地球〜☆"とか言うか?


「うっかり手にしていた桃を落としてしもうての」

「ふーん(蜘蛛の糸乙)」


「まさか人がいるとは思わなかったのじゃ」


嘘つけ殺すぞ。閻魔召喚して舌を引っこ抜くぞオラ!

てめえ、こっちが知らないと思って着色してんじゃねえよ。

『お、この人間良さげ。こいつにしよ。桃ちゃんいけー!www』とか言ってただろうが。


「じゃあ、ボクは桃がぶち当たって死んでしまったと……いやぁ、凄い確率ですね!」


「ふぉほっほっ、そうじゃな。なかなかない体験じゃろう。宝くじ1等より珍しいじゃろうな」←何笑っとんねん、死ね


「でも、人間って死んだら閻魔様に裁かれて地獄や天国にいくのではないのですか?」


「普通は人間が来ることは本当は出来ん。だが、今回はこちらに非がある。だから特別にワシのプライベートな空間に呼んだのじゃ……はて、えー、何という名前だったかの?」


テメエが殺した奴の名前だよ。しかと刻め。その罪を背負って生きろ。生きて償え。

「ミサギです」


「ああ、ミサギ!うん、ミサギくんだったの」


ミサギくんじゃねえよ、ミサギさんだろ?


てかプライベート空間でコレ?(笑)

冷めた目で見ればあたりは真っ白な空間。mmd 初心者すか。とか笑いたくなるような雑さに、床にはセンスのかけらもない畳と、ハリボテ感ぱねえ和室の壁(一面しかない)。そこにかけられた掛け軸には"待"とデッカく書かれている。


日本かぶれの外人を招待する部屋じゃねーんだぞ。それからなんだあの掛け軸。

"待"って……(笑)……侍だろうが!!!!!


内心毒づいていると目の前の自称神(笑)は、ヤカンからコポコポと茶碗にお茶を入れてくれた。あ、砂糖はいってる……。無知って怖いね。


「それにしても、落ち着いとるのう」


は?目、節穴か?


「ええ、ええ全く。自分でも不思議なくらいです」


「ほう、悟りでも開いておるのかの」


開いてないです。煩悩と欲に濡れてます。

……ジュルルルルジュル……抹茶を音を立てて啜る。

自称神(笑)は顔を顰めた。

こいつ無知だから、適当なこと吹き込んでおくか。


「もしかして、日本のこと、ご存知ではない?」


「いや、し、知っとるのう……」


「ほう、いやはや、今顔を顰められておりましたので、日ノ本のことをご存知ではないのかと」


「ふぉ、ふぉっふぉふぉ……知っとるのじゃが、い、一応の。一応……聞いても?ほらの、神とはいえなかなか生の人間に接する機会はないからの」


ごめんなさいしろ。

お前が今一番言うべきは、嘘ついてごめんなさい。知ったかぶりしました、だろ?


「ああっ!では私から日ノ本の作法について少々お教えしましょう!!」

ニコリと笑ってそういった。




説明中




「ほう、日ノ本ではスープと茶、それから麺は啜るものなのじゃな」

「ええ、そうです、そうです!より音を立てて食べれるかでその人の品位が決まるのです。音を立てて食べることこそが雅とされています」


「本当に物知りじゃのう」


おだてても何も出ないぜ。


「それにですね、日本のジャンクフードであるSUSHIはですね…………」



説明中


「ふむ、なるほどのう。異文化の理解が深まったのう……本当に君のような人間を殺してしまうとは日ノ本の損失じゃったの……」


続きはジャパニーズトラディッショナルでも見とけ。


「ははっ(笑)、まあ、しんでしまったら仕方がないっすよ」


だから成仏させて。


「達観しとるの」←おま、それ言いたかっただけだろ。しね。



「でじゃ、君を生き返らせようと思うのじゃが」


「ええ!?ありがとうございますッッッ!ボクYouTuberという職業をやってまして、ニュースとして世界に情報を 発信させていただいている身でして」


「ふぉ?」


「貴方様に生き返らせてもらった暁には、世界中に貴方様のことを布教させていただきます!!!!!」


「その、すまんがの。ルールでの」←は?


「そうですか (そんなルール聞いたことねぇぞ、テメエの自分ルールだろ)」


「じゃ、じゃがのう」


「あ、ならもう成仏とか」


「いや、あのー……ルールでの」←しね


「えー、天国とか行きたいなぁ……」


「神の決めたルールでの、ワシも詳しくは知らんのじゃが、神が人を殺してしまった場合は、責任を取って異世界で蘇らせなければいけないのじゃ」


神はてめえだろうが。


「わかりました」

それ以外何も選べねえし。

おま、RPGのストーリーじゃねえんぞ。絶対に"はい"って言わせようとしてくんじゃねーよ!



「君には、その異世界で第二の人生を送って欲しいのじゃ」

「いっすよー」

「……いいのか?」


てめえが言ったことだろうが!そんな無理難題言ったんか?あ?


「こういってはなんじゃが、罪滅ぼしをさせて欲しいのじゃ、なんでも言ってくれて大丈夫じゃよ」


「え?じゃあ、生き返る世界を指定したりとか」


「……ふむ、できるの」


まあ、出来るだろうな。大概お前らがちゃんと管理してたらわざわざ日本人をあの手この手でぶっ殺して異世界に拉致しなくてもいいんだしな。

お詫びにとか、罪滅ぼしとか言って邪悪蔓延る異世界という不良物件に放り込むタチの悪さよ。


「では、科学文明が発達した世界、治安が悪く社会の統制も取れておらず各地で紛争が多発、テロリストに溢れ迫害、虐殺が横行、未知の化け物が人間たちに襲いかかっている世界に行きたいです」


「は?」


「もう一度いいましょうか?科学文明が発達した世界、治安が悪く社会の統制も取れておらず各地で紛争が多発、テロリストに溢れ迫害、虐殺が横行、未知の化け物が人」


「わかったわかった。いや、わからないけど内容は理解した」


「ありますか?」


「あるにはあるのじゃが……」


あるんかい!いや、こいつ神失格だろ。ちゃんと管理しろ。


「じゃが……なんですか?」


「いや、お主の世代ならドラゴンとか魔王とかがいるファンタジーとかが好きなのではなかったかのう……と思うての」


はあ、これだから若造は。

これでも3000歳越えの付喪神だぞ。

ま、今は人間世界でYouTuberやってたけど。


「人間誰しも同じではありません。一括りにするのはあまりによろしくない」


「はい」

はい……って笑


「いや、すみません。神様相手にボクは……」


「いやいや気にしなくとも良いのじゃよ。

そうそう君には、能力を与えようと思ってたのじゃよ」


のじゃのじゃうるせえよ、間接的に老人バカにしてんだろお前。


「えっ、能力ですか?」


「そう、能力じゃ。例えば魔法、例えば超能力……と言ったところじゃ」


「いやいや、いいですよ。そんなぁ、生き返らせてもらえるだけで嬉しいのに」


「いやいや、大丈夫じゃよ」


「いやいや」

「大丈夫じゃよ大丈夫」

「いえいえ」

「まあまあ」

「いえいえ(いらんいらん)」

「ほらほら(もらえもらえ)」


「そんな、神様にそんなに願いを叶えてもらうとか恐れ多いので」


「……謙虚なのもいいか、あまり謙虚すぎるのはどうかと思うて」


「はっ、申し訳ございません」


「よい、許す」

お前、器ちっさいなー。

しょーもないことを責めてしょーもないことを許すとかないわー。


「では、何か便利で役立ちそうな道具何かを貰えると嬉しいです」


「よし来た!」


「は?(素)」


「いや、ごほん……ではスマートフォンをやろう。これぞ地球の文明の利器。そなたの役に立つじゃろう」



これは嬉しい。異世界からYouTube配信できるな。


「有り難く頂戴致します」


「ふぉふぉっふぉふぉ」←何笑っとんねん。


「へー、スマホの充電とかって……」


「君が今から行く世界は科学文明が発達した世界じゃから、電気やコンセントはあるからの、安心してほしい」


「ああ、そういえばそうでした」


「ふぉっふぉふぉ、わしより年齢が低いのにボケるのはまだ早いぞ」


お前より歳上だよ!


「はは、そっすね」

てめえのつまらないジョークなんざスルーに決まってんだろ。


「……ではな、そろそろ蘇らせるとしよう」


「ありがとうございました!」


「いやいや、こちらこそ色々教えてもらえて勉強になった」


「そうですか!いやぁ、嬉しいな!(恥かいて死ね)」


「最後に餞別じゃ」


ぽわりと体が光に包まれ、あれほど拒否した身体能力の向上を手に入れたのがわかった。ふざけんな。


「ふぉっふぉふぉ」←しね


次第に光が強くなり、真っ白になって何も見えなくなり次の瞬間、ふっ……と意識が途絶えた。

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