依頼達成?

「・・・」


「・・・」


重苦しい沈黙が部屋全体を支配する。俺の目の前にはティターンさん。

部屋には、父さん達、フォルテ先生を含めたSクラスの皆、リーランさん達家族、ティターンさんの娘、リティスさん、そしてアイラさんがいる。


何故沈黙が続いているのか。それは、俺の報告がぶっ飛び過ぎているからだと思う。

今日あったことを、ここに居る全員に語ったが。俺が死に掛けて半神になるとか、封印は人の、正確には邪神の使いに解かれたとか、その魔物と俺が契約したりとか、実はその魔物がこの森の守護者だったりとか。自分で言うのもアレだが、かなりぶっ飛んでる。

そうして、俺の話がひと段落して、誰も言葉を話さなかった。

本当は、報告するのは、合宿が終ってからの予定だったが。時間もある事なので、家族みんなでフェータにやって来て、報告も済ませようと思った。そして報告すれば沈黙が始まった。


だけど、その沈黙もずっとは続かない。ティターンさんは「ハァー」と大きなため息をつき。何かを諦めたような顔をした。


「正直、話が壮大すぎて、どう対処したらいいか、分りませんが。とりあえずは、ありがとうございました。これで暫くは、森も安全になると思います」


「じゃあこれで、依頼は完了でいいですか?」


「はい、大丈夫です。報酬を決めてませんでしたが、金貨でいいです?」


俺は「もちろん」と言い。小さめの布袋に入った、金貨を貰った。ざっと100枚ぐらいだろうか?

こうして俺は、初めての無事に完了することができた。


やっと重い空気が消えて、皆が次第に話始める。その中でアイラさんが「コホン」とわざとらしく。注目を集めた。


「ルリ、魔王の力覚醒おめでとう。これで貴方は、次期魔王候補ね」


ここでもまた、ぶっ飛んだ話が始まる。スキル〔魔王:覚醒状態〕を見た俺や、父さん達なら何となく気が付いていたが。それを見ていないクラスメイトは呆然としている。

それより、何故この場に、魔王様がいるかだが。アイラさんは、ルリがスキル〔魔王:覚醒状態〕になった事に気が付き、アイラさんが普段いるお城から、飛んできたという。


「アイラさん、覚醒しても。まだ候補なんですか?」


素質ある者が力を覚醒することができ、ルリが覚醒したのなら。もうルリは魔王じゃないのか?とか安直な考えをしていたが、どうやら違うようだ。


「シオン君なら、知ってると思うけど。魔王の力は、決して、一人が有するわけじゃないの、何人も候補がいて、その中で覚醒したもの同士が競い。最終的に魔王が決まるのだわ、まぁルリちゃんの覚醒がここまで早いとは、思ってもいなかったけど」


そんな話を、魔王に興味有る者達は聞いていたが。あまりその話に興味ない者も居た。正確にはそれよりも興味の惹かれるものがあり、そっちを優先する者達だ。


「レオちゃん可愛い~」


「この毛並み、癒される」


「ワーイ、ふさふさだ」


アレスに使えている。アリンさん、ハナさん。そしてそこにさりげなく混ざってるシイナちゃん。他にも何名か、【レオ】と呼ばれる。獣の魔物に夢中になっている。


「あ、主~助けて~」


そう【レオ】は俺と契約したキマイラで、今は、小さい動物サイズになっていて。皆に触られまくっている。それは「もう少しの辛抱だ、がんばれ」と目で伝えてみたが。それに気づいたレオは、「解せぬ」みたいな顔をしていた。

魔物なのに、だいぶ器用な奴だと思いました。まる


そして、わいわいしている部屋で1人皆を見守る、保護者みたいな人の横に、さりげなく移動する。

それは、フォルテ先生だ。


「シオン君、いいんですか?もっとみんなと騒がなくて」


「何言ってるの先生。俺は十分騒いだよ」


「そうですか、なら私は、満足です」


そして俺達は、お互い無言ながらも、皆の事を見ていた。今は皆が無事でこうしてワイワイしていられるが。もしかしたら...

これ以上は意味のない思考だと思い、考えるのを放棄した。


本来なら、明日も合宿は続くのだが、状況が状況なために、合宿は急遽終わりを向かえ、もうあの施設には、生徒がいないらしい。これは、あの、短時間で非難させたのは、アレスたちの指揮の速さをよく表していると思う。

しかも他の生徒を王都に帰した後、直ぐにこちらに戻ってきて、何かあった時の為に待機していたらしい。


こうして、いろんな出来事が起き、かなり危険な体験はしたもけど、無事に合宿を終えることができたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アイラ「久しぶり、ドリアーナ、リーラン」


ドリアーナ「本当に、久しぶりですね!」


リーラン「積もる話もありまし、いっぱいどうです?」


アイラ「賛成」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る