番外編 二丁目に行ったときの話 その1

 こんにちは、nnsです。


 田舎者LGBTの憧れの地、新宿二丁目。私も「行ってみたいなー」って思ってましたよ、高校くらいの時から。それで上京したての頃から数年、何度か行ったことがあるんですね。

 そこに行った時の話で、いくつかここに書いても大丈夫そうなことがあるので書いてみようと思いました。


 今回は初めて二丁目に行こうとした時の話ですね。

 行った事のない方には地域ネタで申し訳ないのですが、新宿三丁目という駅があるんですね。そこで降りればすぐ二丁目にいけるんじゃないか? という安易な発想の元、私は三丁目駅で降りました。マジで右も左も分からない状態でウロウロして、結局二丁目分かんなくて行けなかったんですよ(爆笑)

 どうしたらいいか分からないけど、そのまま帰るのもなんだしってことで、お酒も飲めないくせにショットバーみたいなところに行きました。マジで何しに行ったんだ。

 当時からお酒弱い自覚はあったんですが、日本人の99%は自分より飲めるって言っていいくらい弱い、という自覚まではなかったので、普通にお酒頼んでカウンターに一人で座りました。端から見たらマジで寂しい不審者なんですが、その自覚はありませんでした。もうなんの自覚もないよ、コイツ。

 雰囲気を楽しんでたんですね。地元にはあんなビル群はないし、おしゃれな店もないし(スナックしかない)。そこで、聞いたこともない横文字の長ったらしい名前のお酒を注文して座ってるだけなのに、都会を満喫してる気持ちになれてたんですね。ホントにお手軽な田舎モンだよ。


 そこでちびちびとカクテル的なものを飲みながらぼーっとしてると、隣にお姉さんが座ってきました。「隣いい?」って言われて、「どうぞ」って言ったけど、「こんなにたくさん空席あるのになんで隣に座ってくるんだろう、怖い」って内心は怯え倒してました。

 それからたくさん話をしました。でも何を話したのか覚えてないです。しばらくして、煙草がなくなりました。そう、私、とんでもないモーカーってやつなんですね。お姉さんに「すごい吸うよねー」と笑われたのを覚えています。


 煙草が切れて買いに行こうとしたんですが、お姉さんに止められました。ちょっと千鳥足だったみたいですね。私が買ってきてあげるから、と言われ、席に座りました。で、5分くらいですぐに戻ってきたんですよ。ほんっっっとに当たり前なんですけど、田舎者なのでもっとのんびり待つつもりだったんですね(周りコンビニだらけっちゅうねん、新宿舐めるな)。

 手渡されたのは、なんとカートン。1カートン。予想外の出来事に私は硬直しました。しかし、銘柄も種類も合ってるし、っていうか買ってきてくれてるのに文句なんてあるわけがありません。私は鞄の中から財布を出そうとしましたが、お姉さんに止めれます。おごりだって。かっけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

 終電はとっくに無いです。お互いにそれは確認済みです。私は買ってもらった煙草を吸いながら(ホントにめっちゃ吸うもんだから何度か灰皿交換してもらいました)、お姉さんはすごいペースでお酒を飲みながら夜を明かします。


 明け方、そろそろ始発が動くねって時に、彼女は言いました。うち来る? と。ちなみに日曜が始まろうとしているところで、仕事は休みでした。きっとお姉さんもそうだったと思います。そして私は言いました。


「え? なんでですか?」


 いやなんでじゃないわ。

 ホンットにパッパラパーだな。

 今なら分かります、お前何しとんねんって。


 そんなこんなで私達は、連絡先も交換しないまま別れました。彼女を見送ってから、そういえば名前も知らないなって気付きました。


 もうほんっとにバカで失礼なことをしたなとは思っているんですが、なんかいい感じの思い出になってるんですよね、都会の人に優しくしてもらったのも初めてだったし(下心あっただろうけど)。

 で、迷いまくって辿り着いた場所だから、再び行こうにも場所が分からないんですよ。私が「あ、この通り……!」ってなったのは、実に数年後です。

 当時のことを思い出しながら、白い壁の建物を探します。思い出のバーはありました。ただ、看板は変わってましたね。餃子屋に。いや餃子は草。


 私の当時の思い出は餃子屋になりました(?)というお話でした。

 余談ですが、この謎のお姉さんとの出会いから数ヶ月後、再チャレンジして私はやっと二丁目を見つけます。その時の話はまた今度させてください。

 それでは。


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