来る前に
「兄さん……」
可憐とエリーの相手をしているはずの有栖が貴音の部屋に入ってきた。
辺りい一面自分の写真が張られていて、すぐに立ち去りたいと思っているような顔だ。
「どうしたの?」
「今日は白河先輩とエリーが泊まりにきます」
「泊まるの?」
有栖は「はい」と頷く。
「二人は着替えとか取りに家に戻ってます。だからその前にイチャイチャしましょう」
貴音の返事を聞く前に、有栖は最愛の彼氏に抱きついた。
すぐに大好きな匂いを嗅ぎ、有栖は蕩けた表情に。
「兄さん、大好きです。ずっと、ずぅーと兄さんと一緒にいたいです」
「俺も大好きだよ」
有栖は人前であまりイチャイチャしないので、今の内にするしかない。
イチャイチャスイッチが入ったら人前でもイチャつくのだが。
この光景を可憐が見たとしたら、悲しくて涙が出てしまうだろう。
流石にそれは可哀想なので、可憐がいない内にイチャイチャしておく。
諦めてくれるのが一番なんだが、あの様子ではそう簡単には諦めない。
「ここでイチャイチャしてもいいの?」
この部屋でイチャつくことを有栖は嫌っているが、部屋から出ていく様子がない。
「移動する時間もおしいですから」
可憐は家があんまり離れていないので、戻ってくるまでさして時間はかからないだろう。
なら我慢してでもここでイチャイつき、時間が許す限りいっぱい兄さん成分を補充しようとしている。
貴音もたっぷりとイチャイチャして、有栖成分を補充。
可憐とエリーがいては、絶対に有栖とイチャイチャできないのだから。
「兄さん、もっと触れ合いたいです」
「どうするの?」
「こうします」
触れる面積を増やしたいと思ったのか、有栖は腕と足を貴音の背中に回してこれ以上ないくらいに身体を密着させてきた。
基本的に真面目な有栖がこんな風にイチャイチャするなんて少し珍しいことだ。
前にずる休みしたこがあるくらいだし、貴音のこととなると少しタカが外れるのだろう。
貴音にとっては嬉しいことなので、全く問題はない。
「兄さんの匂い、感触……いっぱい感じられます」
有栖は抱きつきながら貴音の首筋の匂いを嗅ぎ、彼氏の全てを味わっていく。
もう決して貴音から離れることなんて出来ないし、恋敵である可憐に渡すつもりもない。
付き合っている有栖のがかなりリードしているのだけど。
「有栖は本当に匂いフェチ」
「違います。兄さんフェチです。兄さん以外の匂いは決して嗅ぎたくありません」
女の子らしくないくらい大胆に貴音の匂いを嗅いている有栖。
そんな有栖を見て、貴音は頭を撫でながら彼女の感触を味わう。
「二人が来る前にしようか」
「え? それは……んん……」
有無を言う前に貴音は有栖の唇を自分の唇で塞ぎ、濃厚なキスで抵抗出来ないようにする。
こうなってしまってはもう抵抗出来ないとわかったのだろう、有栖は身を預けてきた。
キスをしながら服の中に手を入れ、有栖の白くて綺麗な柔肌を直接触っていく。
「兄さん……私でいっぱい気持ち良くなってください」
「うん」
二人は可憐とエリーが来るまで身体を重ね合ったのだった。
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