初体験
「んん……兄さん……」
「悪い……痛かったか?」
「いえ、大丈夫です。とっても気持ち良いですよ」
貴音と有栖は一緒にお風呂に入っており、今は彼女の背中を流している最中。
長い髪はお団子状に纏められているので、有栖の綺麗な背中が見えている。
「じゃあ、流すぞ」
「はい」
シャワーで身体についている泡を流していく。
身体を洗い終わった二人は、一緒に湯船に浸かる。
貴音の前に有栖が座り、後ろから抱きしめてイチャイチャ。
長時間のお風呂は有栖の肌が荒れてしたうために長く入ることはないが、彼女の希望で湯船に浸かっている。
「兄さん……」
有栖は顔を真っ赤にしながら振り返って、貴音に抱きついてきた。
お互いに裸のために肌が直接触れ合う形になり、特に二つの柔らかな感触が……。
「有栖?」
「良かったです。ちゃんと私の身体でドキドキしてくれるんですね」
直接触れ合っているからか、貴音の心音が有栖に伝わる。
それと同時に有栖の心音も貴音に伝わっているだろう。
「そりゃあするよ。彼女が相手だもん」
以前の貴音だったら妹相手にこんなことなかったが、恋と実感してからはドキドキしたりする。
「じゃあ、これ以上のことはしたくないですか?」
「これ以上のことって……」
「女の子に言わせようとするなんて、兄さんはSのようですね。私は兄さんに初めてを捧げたいんです」
このままでは付き合う前と変わらない。
だからどんなに恥ずかしかろうと、有栖は自分の想いをハッキリと貴音に伝える。
「エリーはゆっくりでもいいと言っていましたが、私の全てを兄さんに貰ってほしい。そして兄さんの全てを私にください」
「有栖……」
「だから初体験を済ますまで、兄さんは私に抱きつくことを禁止します」
「何で?」
「だって私に抱きついたまま横になったら、兄さんは興奮していたとしても寝てしまうからです」
先日の貴音は有栖のことを押し倒してきたのだし、間違いなく興奮してたと言ってもいい。
でも、貴音はそんな状態にも関わらず、有栖を抱きしめて横になったらすぐに寝てしまう。
少なくとも抱きしめさせなければ寝ることはないはずなので、そうすれば貴音にリードしてもらいながらできると考えたのだろう。
「今日は絶対に最後までするんです。それまでは何があろうと寝させません」
覚悟を決めた瞳が貴音を見つめる。
こんな瞳を向けられて貴音は……。
「わかった。今日は有栖の初めてを貰うから」
断れるわけもなく、今日は寝ないことを決めた。
「はい。絶対に貰ってください」
☆ ☆ ☆
お風呂から上がると、二人は有栖の部屋のベッドの上で頬を赤くしている。
どうせ脱がすから裸のままでもいいかと思ったが、脱がしてみたいので服は着させた。
「いざするとなると恥ずかしいですね」
「俺は止める気ないから」
「わかってますよ。もし、途中で寝てしまったら、夏休みの間は一切口を聞きませんし、イチャイチャもしませんからね」
イチャイチャできなくなってしまったら有栖成分が足りなくなるので、これで貴音が寝るということはないだろう。
そもそもイチャイチャできなくなるのは有栖にも辛いことだから、何をしてでも貴音を寝させない。
「じゃあ、しようか?」
「はい……んん……」
もう何度目かわからないキスをしていく。
最初は軽いキスであったが、すぐに濃厚なキスになる。
ゆっくりとだけど大胆なキスで、これだけで有栖は蕩けた表情になった。
「はあぁぁ……ようやく……ようやく兄さんに初めてを捧げられます」
「有栖……」
長年待っていたというわけではないが、有栖は嬉しすぎて自然と涙が出てきてしまう。
それを見ただけで、有栖がどれだけ待ち望んでいたことか貴音にはわかった。
流石に今日は寝てしまうということはないだろう。
「有栖の涙……」
「ひゃん……何してるんですか?」
「涙を舐めてみた。しょっぱい」
貴音は有栖の顔をつたっている一粒の雫を舌で舐め取った。
「うぅ……汚いですよぉ……」
「有栖から出る物が汚いわけがない」
「それは引きますよ……」
思わず距離をとろうとしてしまったが、今日だけは絶対に離れるわけにはいかないので、有栖は貴音の背中に腕を回す。
「引く割には離れないね」
「兄さん大好きな私が本当に離れるわけないですよ」
「そうだな。俺も絶対に離れないから」
貴音は服の中に入れて有栖の身体を堪能した後に、寝ずに彼女の初めてを無事に貰うことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。