久しぶりのアニメ観賞……からのイチャイチャ

「アニメが観たい」


 有栖の前で貴音はそう叫んだ。

 ここ最近は全然アニメが観れていないので、貴音は不満がたまっている。

 もちろん有栖とイチャイチャするのは楽しいが、趣味であるアニメを観たくてしょうがない。

 それに今は……。


「そうですね。三人で兄妹物のアニメを観ましょう。そしてその後にお二人のイチャイチャをいっぱい見せてください」


 未だにエリーがいて有栖とイチャイチャできないので、貴音は不満がたまっている。

 だからアニメを観て、その不満を解消させようかと思っている。


「まあ、たまにはいいかもしれないですね」


 付き合うことができて有栖には余裕ができたのか、すんなりと了承してくれた。


 早速、レコーダーに録画されてあるアニメを再生させる。


「何で兄妹物じゃないんですか?」


 観たいアニメと違うようで、エリーは不満をもらした。


「銀髪キャラがヒロインのアニメが観たい」

「兄さんは銀髪フェチですから」

「違う。有栖フェチ」


 エリーはその言葉に納得したように頷く。

 有栖が好きだから銀髪キャラが好きだというのを、エリーは察知したようだ。


「私としては『お兄ちゃんには妹だけいればいいよね』というアニメをオススメしますよ」

「タイトルだけでどんなアニメか想像できますね……」


 どう考えてもヒロインである妹がヤンデレであり、他のヒロインを主人公に近づけさせないようにするのだろう。


「そのアニメには銀髪キャラがいない」

「まあ、ラブコメですからね。有栖さんみたいな綺麗な銀髪はアニメでもそうはいないですよ」


 もちろん全くいないわけではないが、日本が舞台となるラブコメだとどうしても銀髪は少ない。


「兄妹物が良かったですが、やっぱりアニメは最高です」


 アニメが好きすぎて日本に来たエリーは、うっとりとした表情で観ている。

 まるで恋する乙女のようで、アニメを心の底から愛しているというのがわかる。


「兄さん……」

「有栖?」


 エリーがいるのにも関わらず、有栖は貴音に身体を密着させてきた。


「私も兄さん欠乏症になりそうなので……」


 頬を真っ赤にさせていて恥ずかしい気持ちがあるが、今はエリーがアニメに集中しているので、その隙に貴音とイチャイチャ。

 お互いに依存し合っている二人にとって、イチャイチャできない時間があるのはやっぱり嫌だ。

 学校などでイチャイチャできないのはしょうがないが、家にいる時はなるべくイチャイチャしていたい。


「有栖が可愛すぎる」

「兄さん、あんまり喋らないでください。エリーにバレたくないので」


 今のエリーにはアニメ以外視界に入っていないだろう。

 だからってあんまり喋ってはバレてしまう可能性があるので、喋らずにこのまま内緒でイチャイチャしていたい。

 この様子だとアニメが終わったら有栖は離れてしまうだろう。

 なので貴音は有栖が離れないように、自身の首筋に彼女の顔を持ってきて匂いを嗅がせる。


「兄さん、これは……あ……」


 匂いによってイチャイチャスイッチが入ってしまい、有栖はすぐに蕩けた表情に。

 これでしばらくは有栖とイチャイチャすることができる。

 アニメが終わってエリーが気づいたとしても、有栖は貴音から離れるということはないだろう。


「有栖……」

「兄さん……んん……」


 エリーが横にいるのも関わらず、二人はキスをし始める。

 今の貴音にとって銀髪のアニメキャラより有栖で、イチャイチャできるのであればそこまでアニメを観たいとは思わない。

 キスしながら有栖の肌を触り、たっぷりと身体を堪能していく。

 イチャイチャスイッチが入っている有栖は、貴音がすることに抵抗をしない。


「有栖、ずっと愛してる」

「私も兄さんのこと愛してますよ」


 しばらく続いたイチャイチャは、エリーの「いつの間にかイチャイチャしてます」という言葉で有栖が正気に戻ってしまい、真っ赤にしながら離れて終了となった。

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