だるまさんが転んだ
ガタガタと、階段を転げ落ちる音が聞こえる。
*
舞台は再び、あのライブハウス。
―― 一瞬、照明が付き、星佳を照らす。
●星佳
「キャーー、腕しか持ってこれなったーー!」
星佳の手に、千切れた腕が二本。驚きのあまり腕を投げる。
――ここで再び暗転。
*
――ゆっくりと照明。まだ薄暗い。
あの世に繋がったままのどこでもドアが開いたままになっている。
軽快なテンポの曲が流れる。
星佳と、ギターを弾く倫太郎の手元だけが照らされている。
●星佳
「恋人が死んだ。今まで、私の後ろでギターを弾いてくれていた。私は、ライブをしているときだけ、あなたに会える」(軽快な伴奏とは反対に悲しそうに)
暫く、演奏が続く。
●星佳
「ほら、皆さんにも、聞こえているでしょう、ギターの音がするでしょう」
星佳、目をしばらく硬く閉じ、目を開けた瞬間に後ろを振り向く。
しかし、振り向いた瞬間に倫太郎の手元の照明が消えて真っ暗になる。演奏も止まる。
星佳が前を向くと、再び、演奏が始まる。遊ぶような、ギターの音色。
星佳、頭を掻き、少し微笑む。
●星佳
「だるまさんが、転んだ」(音楽に体を揺らせながらふざけて)
振り向く。
また音楽が止まり、倫太郎が消える。
また正面を向き、立ち上がる。
音楽が始まり、後ろ向きで少しずつ移動しながら、倫太郎との距離を縮めていく。
●星佳
「だるまさんが~、転んだ!」(振り返らない。)
(アドリブで何回か)
●星佳
「だるまさんが転んだ!」(早口で)
振り向き際に抱き付くが、失敗。
倫太郎の姿は再び消え、ギターのビーンという音が響くき、星佳、派手に転ぶ。
●星佳
「くっそー、手ごわいな、やっぱり駄目か。こっちの世界では、やっぱり触れないし話もできないんだね、もう二度と」
星佳、いざりながら、ステージの中央へ。うずくまる。
●星佳
「私が歌って、彼が弾いて…私が歌って、」
星佳に当たる照明が弱くなり、右側の椅子に置かれたギターが照らされる。
もう、そこには誰もいない。
しばらくギターを見つめているが、立ち上がり、そちらへ歩いていく。
星佳、ギターのネックを掴み、椅子に座りギターを鳴らしてみる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます