第二幕

どこでもドアーー!

――スポットライトが月の光のように星佳を照らす。


●星佳

「私は、いつまでも、こうやって彼に縋ってしまう」


曲が流れる。


――照明次第に柔らかく明るくなる。


星佳、伴奏の間にゆっくりとマイクを取りに行き、またドアの前の階段に座り一曲歌う。(○○)



曲が終わると、辺りは静まり返る。


そのとき、星佳が座っている階段の後ろのドアが、コンコン、とノックされる。


星佳、驚き、ドアから少し離れる。


●星佳

「ど、どちら様ですか?」


◎死神

(コンコン)

ドアを叩く。


●星佳

「こ、これはただのセット。張りぼてだし!だ、誰よ?」

立ち上がり、恐る恐るドアの向こう側に回り込む星佳。


●星佳

「あれ、誰もいない」


◎死神

(コンコン)

ドアを叩く。


●星佳

「は~、なんで?」

慎重に、ノックをし返してみる。


●星佳

「……入ってます……」(震えた声で)


◎死神

(コンコン)


●星佳

(コンコン)


◎死神

「……」


星佳はドアに耳を押し当て、中の様子を窺おうとする。


静まり返る――。

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