第5話

ステータスボードを確認すると、性別の項目を発見したおかげで「左」が俺のもので「右」が彼女のものということが分かった。


まずは自分のステータスボードを確認してみたら早くも疑問が出てきた。


……名前の欄が空白だ。

その項目を押すと入力ボードが出た。


名前……か。


正直なんでも良かったのでネトゲで使ってたヤツをそのまま使う事にした。


「トーヤ・ヴァレンタイン」

入力を終えるとステータスボードにも反映されていた。

名前の横には「1」と表示されているが、これは多分レベルだろう。


次の項目は…剣やら盾のアイコン。


!!

あれか!あの空間で割り振ったやつ!さて……どんな感じになってるかな?


剣→無

盾→無

杖→無

鏡→無

足→無

星→無


身長 180

体重 68

魅力 255


となっていた。

……うん。

下の3つは……まぁいいだろう。


問題は上の項目だ。

なに「無」って?

無しって意味?あれだけポイントつぎ込んで無……いやいや、流石にそんな事はないだろう。

そう考えた俺は「困った時のナビ様」に聞いてみた。


「ナビ、ステータス「無」って何か分かる?」

……あれ、反応がない。

まだ無視が継続中なのか?

もう一度聞いてみようか迷っていると唐突に返答が返ってきた。


「マスター。情報がないため回答出来ません」

情報がない……という事は良くも悪くもかなりイレギュラーな状態という事か。


生きてく上で問題がないなら良いし、現状に不安はあるが不満はなかったのでスルーした。


あとは称号の項目とスキルか。


称号は

NEET

ストレンジャー


……変更は無しでいこう。

スキルは……


「アイテムボックス∞」

「ナビゲーター」

「異世界言語理解」

「経験値99倍」


の4つか。

これって増えていくのか?

って経験値99倍?確か⁇だったような?


しかしこれはありがたい……とは言ってもどうやって経験値を獲得するのか今のところ分からない。

まぁ、今はあるだけありがたいと判断しよう。


少し疑問は残っているけど自分のステータスボードはあらかた確認できたので!次は彼女のボードを見てみる事にした。


すると驚いた事に名前の欄がさっきと変わっていた。

具体的には「ヴァレンタイン」が追加されている。


なるほど……


嫁という設定だから苗字は共通って事か!そう考えた俺の次の課題は名付けだった。


名前……どうしよう?悩んだ俺は彼女の顔を見た。


やっぱり可愛い。いや綺麗な顔だな……。


そういえばネトゲに出てきた女神セレスティナに似てる。セレスティナ……セ……リナ……


セリナなんてのはどうだろう?

自分で考えといてなんだが、なかなか良さそうな気がする。


決めた!

俺は名前の欄を押すとさっそくセリナと入力した。

そして表示された名前を確認すると「セリナ・ヴァレンタイン」と記載されていた。


「よろしくな!セリナ」

そう呼びかけるとセリナの瞼がゆっくりと開かれていった。


名前を付けることが目を覚ます条件だったのか!?


目を開けたセリナはゆっくり辺りを見渡した。

そしてベッドに腰掛ける俺を見つけると、とびっきりの笑顔を向けて言った。


「はじめまして。貴方が私の旦那様でしか?」


「しか?」

思わず口に出してしまった。


セリナを見ると顔を真っ赤にして俯いていた。

うん……可愛いじゃないか。


「そうだよ!俺はトーヤ。よろしくね!」

そう答えると、セリナは顔をあげて少し赤みが残った笑顔を見せてくれた。


「マスター。よろしいでしょうか?」

不意にナビが言ってきた。


「いいよ!どうした?」


「彼女…いえ奥様に服を出してあげては如何でしょうか?」


「あるの!?あるなら出して貰えるか?」

そう言うと女性の服が出てきたので、俺はそれをセリナに渡すと着替えるように促した。


……セリナがその場で服替わりのシーツを脱いだ時には焦った。


「旦那様に裸を見られて嫌がる妻なんていませんよ?」とか言われたので……お言葉に甘えてガン見したら「そんなに見られると恥ずかしいです」と言われて萌えたのは秘密の話だ。


するとナビから称号を「ストレンジャー」に変更するか聞かれて正気に戻ったのは何故か悔しかった。


着替えを終えたセリナは俺の隣に座った。


ん、なんかいい匂いがする…っていかん!

今はセリナのステータスボードを確認してるんだった。その事を伝えると「私も一緒に見ていいですか?」と聞いてきたので二つ返事でOKした。


さて、名前の次は…アレか。恐る恐る確認した。

剣→5

盾→50

杖→85

鏡→80

足→30

星→50


身長 163

体重 50

魅力 200


身長と体重は見ちゃいけない!

と言うかマナー的に身ちゃダメだ。


だがしかし…

見えてしまったものは仕方ない。


深く追求はしないとして、魅力が200というのは意外というか……俺より低い事に驚いた。

セリナで200という事は、255の俺ってもしかしてイケメン?


……冗談です。


それより剣などのステータスが数字になってる事に注目した。

やっぱり「無」というのはイレギュラーなんだろうか?ナビにも分からないみたいだし。


続いて称号とスキルに目を向けると、どうやら称号はまだ持ってないみたいでタッチしても表示されなかった。


スキルは……


「精霊魔法」


1つだけだったけど、なんとなく凄そうだと思った。魔法とか知らないから分からないけど。


そうだ!

セリナは使えるんだから聞いてみればいいんだ。


「ねぇセリナ……精霊魔法ってなに?」

そう聞くとセリナは嬉しそうに答えてくれた。


「精霊魔法は精霊の力を借りて使用する魔法です。癒しの精霊の力を借りての治癒魔法、炎や氷の精霊の力を借りての攻撃魔法など使い道は様々ですね」


……凄い。

複数系統の魔法を使えるって事だよな?

まさか俺より強いのでは?


そう考えると泣きたくなりそうなので、俺は考えるのをやめた。

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