第3話
気がつくと俺は見知らぬ洞窟?で目を覚ました。
そもそも洞窟かどうかも分からなかったけど、無事に転移できたのか確認したかった。
俺はどうしたものかと考え始めたその時!
「真っ直ぐ進んで下さい」
声が聞こえた……厳密には頭に直接響いてきた。
なんだ今の声?
俺が疑問に思っているとまた声が聞こえてきた。
「私はナビゲーターです。マスターの洞窟から出たいという要望に対して案内を開始しました」
マジか!
あまり期待していなかったのに早速使える商品じゃないか!
俺はナビゲーター…ナビに従い移動を開始しすると、次第に景色が明るくなってきた。
周囲の様子を見ながら歩く俺は「やっぱり洞窟だったんだなぁ……」と考えながら呑気に歩いているとナビが聞いてきた。
「マスターは開放的な方なのですか?」
質問の意味が分からなかった俺は、性格のことだろうと判断すると答えた。
「開放的というよりは外向的かなぁ。NEETになるまでは人並みに友達も彼女もいたし。」
俺の答えに「分かりました」と答えるとナビはまた出口への案内を開始し始めた。
……なんだったんだろ?その意味は出口に着いた時に理解した。
……俺、全裸だったのね。てっきり服は着てるものとばかり思っていた。
確かに思い込みは良くないけど、幸いな事にまだ人とは遭遇していなかった。
とりあえず着るものを探そう。
無ければ作ればいい!……
って素材も技術もないじゃないか!そう悩む俺にナビは冷静に言った。
「マスター。アイテムボックスに衣類が収納されていますが出しますか?」
「お願いします!」
俺がそう頼むと、何もない空間に突如服が現れた。
アイテムボックス…買ってて良かった!
俺は出てきた服を早速着てみた。
真っ黒なシャツとズボン、コートに靴。
どうでもいいけど俺……靴も履いてなかったのか。幸いにもサイズはぴったりだったので助かったけど。
とにかく服を着て満足する俺にナビが話しかけてきた。
「マスター。新しく称号を獲得しました。変更しますか?」
ほう…称号とな。
よく分からないけど今の称号と手に入れた称号を聞いてみた。
NOW→NEET
NEW→ストレンジャー
「今のままで…」
変質者とニートなら迷わずニートを選択した俺にナビは「分かりました」と答えると静かになった。
…
さて、これからどうしよう?
洞窟を出た俺は道なりに森を歩いていた。
道があるという事は誰か通っているという事だ!と安易に考えた俺はひたすらテクテク歩き続けた。
しばらく歩くと森を抜けて整備された道に出たが、こ道は二手に分かれていた。
右に行くか左に行くか。
まぁ…どっちに行ってもあんま変わらないだろうと考えた俺は「左」に行くことにした。
その後、少し歩くと煉瓦造りの壁が見えた。
……どうやら無事に町へと着いたみたいだ。
さらに近づくと守衛らしき人が立っているのが分かった。
転移してきて初めての会話……うまく話せるだろうかと考えている間に入り口に着いてしまった。すると俺に気付いた守衛が話しかけてきた。
「おいあんた。町に入りたいのか?」
そう問いかける守衛に俺は返事を返した。
「あ…あぁ。そうなんです!いいですか?」
「町に入りたいなら入町税200Gだ。」
良かった!
言葉は通じているようだ……。
けど入町税200Gって……おれはまだお金を持ってない!
どうしよう?
動揺する俺にナビが言った。
「マスター。アイテムボックスに入っていますが出しますか?」
マジか!
俺はすぐにお願いすると、何もない空間から200Gが出てきた。アイテムボックス…神!!
そんな事を考えていると守衛が驚きながら言った。
「あんたアイテムボックス持ちか!珍しいもん持ってるんだな!」
そう言って感心する守衛に聞いた。
「珍しいんですか?」
「あんまり見る事はないな…冒険者や行商人なんかは持ってるがこの町にはほとんど来ない。だから見る機会が少ないんだよ」
守衛が言った「冒険者」や「行商人」というファンタジーチックな単語に胸をときめかせながら、俺は入町税を手渡した。
「そうなんですね…あ!すみません200Gです」
俺が手渡した硬貨を確認すると守衛が笑顔で言った。
「200G確かに受け取った!何もない町だがゆっくりしてってくれ」
そう言って門を開けてくれたので、軽く頭を下げるとさっそく町へと入った。
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