第2話
花嫁召喚キット…だと⁈
俺はまさかの商品名と金額に驚愕した。
え…なに?
これにタッチしたら花嫁さんをGET出来るのか?
商品名以外の情報がないので……1億という金額げ高いのか安いのか、そもそも嫁が必要か不要かの判断に迷った末……
ようやく俺は結論を出した。
「よしっ!決めた!」
悩んでるうちは保留しとこう!
なぜなら考える時間はいくらでもあるんだから!
そう決めた俺はトップページへと戻ろうとしたのだけど……
戻れない。
画面上のあらゆる場所をタッチしたけど……やはり戻れなかった。
まさかの強制購入イベント!?
いやいや……
こういう場合は画面の見えにくい場所に小さく表示されてるはずだ。
悪質なサイトや変な広告は、決まって分かりにくい場所に「バツマーク」や「閉じるボタン」がある。
そう考えた俺は隅々まで確認してみたのだけど……
どこにも無かった。
…
こうなってしまった以上は仕方ない。
腹を決めた俺は「花嫁召喚キットex/pkg〜運命」にタッチした。
そしてもやもやしながら待つこと数秒、画面には新しいページが表示された。
ため息をつきながら確認すると、新しいページには「ステータス割り振り」と大きく書かれていて……剣、盾、杖、鏡、足、星のアイコンが表示されていた。
花嫁召喚キットの説明とかないのね……
まぁいいんだけど。
いや……
ほんとはツッコミたいんだけど……
そんな事より俺には新たにツッコミたいことが出来た。
「順番が逆だろぉぉぉぉっwxxxdnjakg!」
花嫁召喚なんちゃらよりステ振りのが大事じゃないか!
……なのに……なのにっ!
ポイントのほとんどを使ってしまった俺はうなだれて座り込んだ。
……いや待てよ?
俺は残りポイントを確認するためモニター右上の表示に目を向けると、そこには750万ポイントと表示されていた。
冷静に考えるとステータスに750万ポイントを割り振れるって…すごい事じゃないか?
確かに1億はもったいない事をしたかもしれないけど……
済んだことは仕方がない。
俺は気を取り直すとステ振りページを再び確認してみた。
アイコンはそれぞれ…剣は攻撃力 盾は守備力 杖は魔法攻撃力 鏡は魔法防御力 足は素早さ 星は…運だろうか?
……
どうしよう……?
バランスよく割り振るべきか特化型でいくべきか。
とりあえず攻撃と防御は強化しておきたい。
そう考えた俺は剣と盾、鏡に100万ポイントを割り振った。
残りは450万ポイント。
素早さと…運?もある程度は伸ばしておいても良いかな。足と星にそれぞれ50万ポイントを割り振った。
残りは350万ポイント。
魔法攻撃力……魔法って大事かな?
ネトゲで物理攻撃力に振っていた俺は必要性に疑問を持っていた。
しかし… 今から行く世界はきっと魔法が使える世界なんだろう。
何故なら魔法攻撃力なんて、魔法が使えない世界には必要ないんだから。
まだまだポイントが残っていたので杖にも100万ポイントを割り振った。
それに併せて足と星にも追加で50万ポイントを割り振った。
結局全ての項目に100万ポイントを割り振ると残りポイントは150万となっていた。
さて残りポイントはどう割り振ろう……俺は少し考えると結論を出した。
「ここまで均等に割り振ったんだし残りも均等に割り振ってみるか」
えっと…残りポイントが150万。
それを6等分だから……うわっ!ぴったり25!
キリもいいしこれでいこう!
結局…全ての項目が125万になった。
残りポイントもないしスッキリ!
……と思っていたのだけど端数4649ポイントが残っていた。
4649を6等分したら……ってもはや誤差の範囲じゃないか?
消費税にもならない。
割り振りはもういいから次に進みたい。
するとページの隅を見たら「touch me」のボタンを発見したので迷わずタッチした。
そして画面に新しく表示されたページは……
まさかのステ振り画面その2だった。
「……マジか」
俺は思わず呟いてしまった。
さっきのページで終わりかと思っていたけどそれは完全に俺の勘違いだった。
焦りながら画面を注視すると、今回のアイコンは……人、体重計、ハートの3つのアイコンだった。
人は身長
体重計はそのまま体重
ハートは…魅力とかルックスだろうか?
人に180、体重計に70、ハートにはキリよく4000を振ってみた。
別に魅力とかどうでも良かったんだけど、体重や身長に割り振るわけにもいかないし……。
……いや、マジで。
ただポイントを残すのが勿体ないだけだから。
ただ俺の思いとは裏腹に魅力は255が上限値のようで、それ以上は増えなかった。
255でカンストなんてどこのFFだよ!?
とりあえず割り振りを終えた結果、まだポイントが4144残っていた。しかし、このページで出来る事を終えた俺は「touch me」をタッチした。
次のページは転移先の選択だった。
………モウツッコマナイゾ!
仕方なく選択肢を確認すると
天 ポイント不足のため選択できません
遊 ポイント不足のため選択できません
楽 ポイント不足のため選択できません
地 ポイント不足のため選択できry
冥 ポイント不足のry
沌 0P おすすめ☆熱烈歓迎中
獄 ポイント不ry
……選択肢がなかった。
下から2番目以外。
逆に悩まずに済んで良かったと自分に暗示をかけた。
そもそも俺は働いてもない自堕落NEETなんだから今より悪い環境はない。
そう自分に言い聞かせると、誰のおすすめかも、誰が熱烈歓迎してくれるかも分からない「沌」を選択した。
そして失意のまま「touch me」にタッチすると……
次のページは残りポイントで買えるおすすめ商品ページだった。
最早どうでも良かった俺は適当にページをスクロールしていると、1つだけ目に付いた商品があった。
「ナビゲーター」
相変わらず商品説明はないけど…これは名前の通り案内機能だろう。
知識はどれだけあっても困らないしポイントを残すのは勿体ない。
そう判断した俺は迷わず購入した。
その後、最下部までスクロールし終えるとやっぱり「touch me」が表示されたのでそこをタッチ。
するとモニターに「complete」と表示されると、間も無く画面が切れた。それから少し経つと、この空間で唯一存在していたパソコンも光と共に消えていった。
これから俺はどうすればいいんだ?
そんな事を考えていたら急に体が光り始めた。
その光は少しずつ粒子となって消えていった。
「転移が始まったのか?」と考えていると時間の経過と共に体の殆どが粒子となっていった。
そして俺は激しい睡魔に襲われると、堪えきれずに眠ってしまった。
意識が途切れる前に「おかえり」と聞き覚えがある誰かの……懐かしい声が聞こえた気がした。
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