第3話

淡々と説明が続く。小一時間演説のような説明を聞いていたが理解できたことは敵は未知の生命体それと戦う動作を求めている。そして死も伴うということ…

理解するのに時間は要らなかったし必要なかった。ただ、僕が欲しかったのは死ぬ理由。どうしようもないこの世界に別れるための理由だけだった。

参加するものだけ残れと指示があり、演説者は席を外した。周りにいた人たちも数を減らしていった。残ったのは十数名、家族を失い憎しみを抱いているものやヒーロー気取りのものそれぞれだった。

人数もだいぶ減り十数名が残るだけだった。

「おい!」

出入り口の方が声がする。

「お前だよ!めがねのやつ!」

突然の大声に周りがそいつに注目する。赤い髪に悪い目つき、明らかに関わりたくないタイプの人間だ。

「無視すんなよお前!」

胸ぐらをいきなり掴まれ、睨みつけてきた。

「さっきからじろじろ見やがって。お前何様のつもりだよ」

罵声がイベントホール内に響くと避けるように周りの人が離れていった。

「これだけ人がいれば視界に入るのは仕方ないじゃないですか。それにそんなことをする理由もないです。話してください」

と、彼の手を無理やり引き剥がした。すると、彼の顔のしわは威嚇する狼のようどんどん変わっていった。

「てめぇ!殺してやる!」


ーやめなさい!ー


殴りかかろうとする彼に対して、鋭い声が差し込まれた。

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