第2話

ーあの忌まわしい事件から4年、我々人類は未だ地上を取り戻せないでいます。国関係者によると現状の戦略では対応が出来ず各国に助けを求めているとのことですー


隣の人のラジオからニュースが流れている。

あの事件の後人々は地下に隠れる生活を余儀なくされていた。家を失いゆくあてのない人が地下に流れ込んできたのだ。その生物はミストと名付けられ地下には入って来れないことを2週間後に国の放送で知らされた。家にいても襲われる可能性がある状況でその放送があったときには少しだけ光が見えた気がした。

人工の約半分が食われもう半分は地下に逃げるか家で生涯を全うした。

幸いにもライフラインに関しては国の迅速な対応のお陰でこの地下にも行き届いていた。ただ、太陽の光がないため、食料が作れず毎日乾パンや保存食に頼ることしかできない。

そんなストレスから外に出たものもあるがその顔を次見たものは当然いなかった。


ある日、国から35歳以下の人が集まるように放送があった。この地下も各地に繋がっており移動にはトロッコが用いられた。ここにいるs区からも5名ほどの少数がt区へと向かった。僕もその1人だ。

移動中の車内は会話はなく、囚人のようにただ下を向いていた。


t区につくとs区と比べてあたりにあかりが広がっていた。大きいデパートを繋いで出来た施設のようで設備もこちらの方が優れているのはすぐ分かった。

到着してすぐに催事場に集められた。

各地から集まったメンバーが既に到着しており100名ほど集まったように見えた。


ーこれより対害虫駆除の説明会を行うー


40代後半ぐらいの恰幅の良い男性が台の上に立ち、反響するほどの大声で話しかけてきた。


ー知っての通り4年前の災害で皆地下に強いられることになった。その状況を打開すべくあるチームを作ることにした。先ほども話したが害虫駆除・・・簡単に言えば外の虫を殺し人類が今まで通りの生活を送れるようにするものだ。各国にも被害は出ており全国挙げての作戦になる。もちろん命の保証はできない。これより先は帰ってもらって構わない。10分後またくる。その時話をしようー


あたりがざわつき変えるものも多数いた。当然だ、皆奴らに恨みがある。だが、命と引き換えにできる問題でもない。少し悩んだが、家族もいない今死んだところで悲しむ人は多分僕の周りにはいなかった。

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